新年を寿ぐ鳥たち@東京国立博物館 本館
東京国立博物館本館2階、特別1室と2室で正月特集陳列「新年を寿ぐ鳥たち」を観ました。
まず「暁の鳥」では鶏をとりあげます。十二支の酉は鶏の姿で表現されることが通例です。黎明を告げる鶏は家禽として親しまれ、また闘鶏のような遊戯も楽しまれました。ここでは鶏をモチーフとする作品、そして鶏と人との関わりを表した作品を展示します。
そして「祝の鳥」では、幸運をよぶ鳥たちをご紹介します。鳥をモチーフとする美術工芸品には鷹・孔雀・鶴・鷺(さぎ)・鴛鴦(おしどり)などに吉祥的な意味を込めたり、あるいは人間の豊かな想像力が生み出した鳳凰やガルーダのような瑞鳥も表わされました。ここでは実在の鳥に限らず、空想鳥を含む鳥を表した作品を展示します。
以下、気になったものを記録として残します(◎は重要文化財)。
《軍鶏 1幅 荒木寛畝筆 明治時代・19世紀》
一番手前の絵。荒木寛畝は花鳥画を得意とし、幕末に土佐藩主山内豊信の絵師となり、明治時代には東京美術学校(現、東京藝大)の教授となった。気性の荒い雌雄の軍鶏が描かれている。
《雛鶏図 1幅 斉白石筆 中国 中華民国時代・20世紀》
斉白石(せいはくせき)は現代中国画の巨匠。北京芸術専科学校教授、中国美術協会主席を歴任し、京師四大画家と称された。雛の群れが描かれているのがとてもかわいらしく、印象に残りました。
《松梅群鶏図屏風 6曲1双 伊藤若冲筆 江戸時代・18世紀》
いわずと知れた若冲の鶏。雌雄の成鶏や雛を様々な角度で捉えている。石灯籠や敷石は大小の点描で御影石の質感を描いている。
《闘鶏香(十組盤のうち) 1具 江戸時代・19世紀》
香木の香りを聞き当てる組香(くみこう)の勝負を闘鶏に見立てた盤。褐色と黒の二種が五羽ずつあり、宮廷の紫宸殿に見立てて褐色のを左近桜方、黒を右近の橘方とした。
右から左奥に向けて、
《鶏合せ 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀》
《鶏に美人 1枚 魚屋北溪筆 江戸時代・文政8年(1825)頃》
《鶏に餌をやる男女 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀》
《鶏を捕える子供 1枚 礒田湖龍斎筆 江戸時代・18世紀》
《詩哥写真鏡・清少納言 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀》
《旧儀式図画帖「闘鶏御覧」 1帖 明治時代・19世紀》
江戸時代の宮廷行事を描いた図画帖の中の、仙洞御所(上皇の御所)で行われた闘鶏の場面。かつて宮廷では三月三日に闘鶏が行われていた。
《花鳥図屏風 2曲1双 海北友雪筆 江戸時代・17世紀》
(右隻)
(左隻)
海北友雪(かいほうゆうせつ)は春日の局の推挙もあり徳川家光にも取り立てられた宮中の御用画家。画風が軽妙で親しみやすい作品が多い。今年、京博で特別展が開催される。
《孔雀図 1幅 岡本秋暉筆 江戸時代・19世紀》
寄り添う番の孔雀の背後に牡丹とタンポポを描いたもの。秋暉は区孔雀図を得意とした。本図は特に金泥を用いて華やかな仕上がりとなっている。
《蒼鷹搏雁図 1幅 毛翀筆 中国 明時代・16世紀》
菊花さく秋、雄々しい蒼鷹が水辺に雁を捉えた一瞬を描いている。常が刺さり、後方には驚いて飛び立つ叭々鳥の姿が見える。
《羽觴(うしょう) 1個 明治時代・19世紀》
羽觴とは、羽を持つ觴(さかずき)の意味がある。もとは陰暦三月三日(また、上巳の日)に行われた風習で、曲水流觴という屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという遊びがあった。それが後世になって鳥の形をした台に盃を載せる形式となった。
《牡丹錦鶏蒔絵鞍鐙 1具 江戸時代・19世紀》
高く盛り上げた金の高蒔絵を主体にして、雌雄の錦鶏と牡丹を賑やかに描いている。
《鶏 1面 荒木寛畝筆 明治時代・20世紀》
《鶏 1面 渡辺省亭 明治時代・19世紀》
《迦陵頻伽像 1躯 伝慶尚北道慶州市出土 統一新羅時代・8世紀》
極楽浄土に住む迦陵頻伽(かりょうびんが)と呼ばれる鳥は、上半身が人の形をして非常に美しい声で歌うそう。手にはシンバルに似た楽器を持ち、足先は鳥が枝に止まるように丸めています。
1月2日の特別2室はこんな様子でわいわい賑やか。熱気で展示室の温度も上がっていたかもしれません。
本館2階を鑑賞後に夫と待ち合わせて合流したところ、カレンダー付きワークシートに解答して、記念品を貰っていました。
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