レオナールフジタとモデルたち@DIC川村記念美術館
行きはJRで佐倉駅まで行きました。これが失敗。この日はとても冷えて9時の気温は2度。駅に止まるたびに風が入ってきて車内が全く暖まらず、ずっとガタガタ震えっぱなし。千葉の気温を舐めてました。網走に行ったときと同じコートにすればよかったと後悔したけれど、後の祭り。
駅からは無料の送迎バスがあります。駅から美術館まで約20分。
園内は広大です。白鳥のいる池のほとりを歩いて美術館へ向かいます。
入館してすぐ特別展の「レオナール・フジタとモデルたち」へ。
美術館側の案内的には常設展を見てから特別展を回る順番だったのだけれど、疲れる前にと思って特別展を先に見ました。しかし、体が冷え切っていたため、心が開かれていないというか、やはり芸術品の鑑賞は精神的な余裕がないと難しいですね。初期の頃の作品は、流すように眺めてしまいました。
以下、気になったものを羅列。
073《ジャン・ロスタンの肖像 1955年 カルナヴァレ博物館》
074《カルチエ・ラタンのビストロ 1958年 カルナヴァレ博物館》
075《誰と戦いますか? 1957年 ミュゼ・メゾン=アトリエ・フジタ、エソンヌ県議会》
086《花の洗礼 1959年 パリ市立近代美術館》
087《君代のプロフィール 1938年頃 目黒区美術館》
私は、今回の展覧会でポスターにもなった婦人像や評判の高い裸体画よりも猫や犬の絵、カフェなどの雑貨がぎっしり書き込まれたものだったり衝立やお皿などの細々としたものにむしろ魅力を感じました。
前半は婦人像や裸体画が多くて、なかなか心に残るものがなく、これは困ったという気分にさせられましたが、途中《ジャン・ロスタンの肖像》のあたりで、自分がもっている常識が鑑賞の妨げになっていると気づきました。今回はフジタの描くヌードの手法が、日本画でよく見る鉤勒法や胡粉をふんだんに使った表現(常設展にあった橋本関雪の木蘭の馬なんて、まさに)に近かったことが多分に影響したのだと思います。フランスでは異国的で特別なものと感じられただろうフジタの特徴が、私には格別なものに見えなかったし、逆に、私はフジタのフランスの香りがする絵に心動かされたというわけ。晩年、レオナール・フジタとなってから「日本びいきのフランス人」と評されたと知って腑に落ちました。
普段ほとんど西洋画を見ない夫も熱心に観ていたので、結構刺さるものがあったみたい。ランチ時に話をしたら、ダリみたいだと。確かに、セルフプロデュース能力抜群なところが共通していますよね。
お昼は園内のレストランへ。パスタランチのアマトリチャーナ。
- ジャンル:イタリアン
- 住所: 佐倉市坂戸631 川村記念美術館
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- (写真提供:Gaspard et Lisa_27)
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園内を散策した後、改めて美術館に戻り、今度は常設展へ。
西洋画がほとんどなのですが、日本画も一室だけ。
《◎長谷川等伯 烏鷺図屏風 1605(慶長10)年以降》
長谷川等伯の屏風に会えたのは僥倖。カラスが黒々としていて、争うように飛び回っている姿が印象的でした。カラスが屏風に描かれているのを見るのは初めてです。八々鳥と比べてあまり描かれていないように思います。八咫烏とか神の使いをするくらいですから、古来不吉なイメージはなさそうですけど、不思議です。
《上村松園 桜可里 1914-15(大正3-4)年頃》
上村松園の桜可里がかわいらしかった。これを見るのに初めて単眼鏡を手にして、そこで初めて西洋画を見るのには単眼鏡っていらないんだなあ気づきました。
《橋本関雪 木蘭 1918(大正7)年》
六曲一双の屏風。画題は北栄で編纂さらた楽府詩集にある五言古詩、木蘭辞。ディズニーアニメのムーランもこれによる。二頭の馬を伴う男と木の根に座って休む男装の女。穏やかな表情です。
暖房が効かない電車で帰るのは懲り懲りだったので、帰りは東京駅までの直行バスを利用しました。
一眠りしたら東京駅に着いていました。案外近い。
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