室町時代のやまと絵―絵師と作品―(後期)@東京国立博物館 本館

現在、東博本館2階、特別1室と特別2室で、企画展「室町時代のやまと絵―絵師と作品―」が行われています。一部、展示替えがあったので、再訪しました。

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 以下、気になったものをメモとして残します(◎は重要文化財)。

《◎浜松図屏風 6曲1双 室町時代・16世紀
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ややこぶりな紙本着色の六曲一双の屏風。右端の柳の若木から左端の雪の積もる槙の間に、浜辺の春から冬への季節の移ろいが幾種類もの草花と小鳥で表され、その遠景に漁師や狩装束の一団などが描かれている。下地全体に雲母を掃き、雲や土坡に用いる金の切箔や砂子は、粗密をつけて蒔くなど技術的にも手の込んだ作例。
金雲、流水表現、大樹、四季花鳥図、風俗図など、その後に続くいくつもの要素を備えた屏風として実に面白く、見ごたえのある作品でした。

月次祭礼図屏風(模本) 6幅 原本=伝土佐光信筆 江戸時代・19世紀、原本=室町時代・15世紀
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正月から六月頃までの、京都で行われる祭礼や行事を描いた屏風の写しで「洛中洛外図」の源流ともいえる作例。七月から十二月のもう一隻分と対になっていたと思われる。第一扇に「土佐光信筆」とある。 

《◎融通念仏縁起絵巻 巻下 1巻 藤原行秀・永春・藤原行広・粟田口隆光筆 室町時代・応永24年(1417) 京都・清凉寺蔵》
展示は以下の部分。
(永春筆で)城南寺の心源、念仏の功徳により父母が往生したことを知る。木寺の源覚に仕える牛飼童の妻、難産の末死にそうになるが、念仏の功徳で救われる。(藤原行広筆で)北白河の下僧の妻、地獄に堕ちるが、念仏の功徳で救われ、蘇生する。武蔵野与野の名主、疫病がはやった際、家人を集めて別時念仏を行う。その夜、疫神たちが名主の家に入ろうとした際、名蝶を示してこれを追い払う。他所にいたため、名帳に記載のなかった名主の娘は疫病で死亡する。(粟田口隆光筆で)清涼寺における融通大念仏会の様子。厨子の中には清涼寺の本尊釈迦如来像も見える。

《源氏物語図扇面 1本 伝土佐光元筆 室町時代・16世紀》
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金地の扇に『源氏物語』第十帖賢木、伊勢に下向する六条御息所にもとを源氏が訪れる場面を描いたもの。伝承筆者の土佐光元は土佐光茂の子で、その後継者として活動していたが、織田信長に仕え、但馬攻めに従軍し戦死。これにより土佐家は断絶する。

 

この後、他の常設展示を回りました。