伊勢神宮 別宮 月読宮と月夜見宮:お伊勢詣 その4

2022年4月19日

別宮として、内宮には月読宮、外宮には月夜見宮があり、どちらも同じく月読尊(つくよみのみこと)をお祀りしている。月読尊は黄泉の国から戻ってきた伊弉諾尊が禊を行って、その身から生まれた三柱の貴子の一柱で、内宮の御祭神である天照大御神とは姉弟の関係。その名のとおり月の神で、農業に関わりの深い暦を支配する。

月読宮

五十鈴川駅から徒歩10分の森に、皇大神宮別宮の月読宮(つきよみのみや)がある。二つある参道のうち、写真は国道23号線から入る南側の鳥居。
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民家から隔てられ、境内には静寂が広がっていました。
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 手水舎や宿営屋を通り過ぎると、正面に横一列にならんだお社が現れます。
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右から、月読荒御魂宮、月読宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈弥宮です。社殿の背面にある木々を越えた所に新御敷地があります。掲げられていた案内によるとお詣りは、月読宮、月読荒御魂宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈弥宮の順番でするそうです。

手前が月読宮、奥が月読荒御魂宮。
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手前が伊佐奈岐宮、奥が伊佐奈弥宮。
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いずれも伊勢鳥居が社殿の前に立ち、男神、女神に関わりなく内宮に準じて内削ぎの千木、6本の鰹木を掲げた神明造で切妻縦型拝殿がある。月読宮だけ一回り大きく作られている。

 

寛政9年(1797年)発行の『伊勢参宮名所図会 巻四』に月読宮が描かれている。

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お社は二つだけ。元は一院に4柱が祀られていたのが、後に、月読宮と月読荒御魂宮で一院、伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮で一院となり、明治以降に4社造られるようになったそうです。

 

月夜見宮

伊勢市駅の西、豊受大神宮別宮の月夜見宮(つきよみのみや)。外宮の旧参道である北御門口から神路通りを300m程行ったところにある。f:id:Melonpankuma:20190826155154j:plain
駐車場から伊勢鳥居をくぐると参道がすぐに左に折れるのが、まるで虎口のよう。倭姫宮にも同じような造りがあって気になりました。最初は神域を隠すためかと思いましたが、その後、宇治山田合戦の歴史を知って、やはり防衛の目的もありそうだなと。

 

手水舎に隠れているが、奥に立派な大楠がそびえる。
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雨の参拝だったこともあって静謐な空気に包まれていました。

手前に新御敷地、奥に月夜見宮の社殿。
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御祭神は月読尊。伊勢鳥居が立ち、外宮に準じて外削ぎの千木、5本の鰹木を掲げた神明造で切妻縦型拝殿がある。

 

月夜見宮の社殿右側に高河原神社がある。f:id:Melonpankuma:20190826155200j:plain
伊勢鳥居が立ち、本殿は板垣で囲まれている。左に新御敷地がある。
外宮の摂社で、御祭神は月夜見尊御魂だという。鎮座地周辺地域である宮川高河原の守護神である。

 

月夜見宮の新御敷地の左側にある折れた楠の木の洞に稲荷が祀られていた。
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像が犬神のようでお稲荷さんなのか悩みました。調べてみたら、この楠は戦中に焼夷弾で焼けたそうで、地域がそのおかげで守られたことに感謝してお祀りするようになったものだという。

 

月夜見宮は 『伊勢参宮名所図会 巻四』山田の頁左下に新月読宮として描かれている。
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参考までに、伊勢神宮に関わりのある神様の系譜。
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月読尊は、『古事記』で黄泉の国から帰ってきた伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の穢を落とした時に生まれ落ちた三貴神(さんきしん)のうちの一柱。伊弉諾尊の左目から天照大御神、右目から月読尊、鼻から須佐之男命が生まれた。