伊勢神宮 外宮:お伊勢詣 その2
土砂降りの伊勢駅。
駅前広場の先に、大きな鳥居があります。
外宮の鳥居前町側から見た鳥居。
2013年竣工の立派な伊勢鳥居です。駅前に白木の鳥居を建てるなんて、すごいな。
駅近くに取ったお宿に荷物を預け、外宮(げくう)に向かいます。
表参道にある一対の大灯籠が目立ちます。
豊受大神宮の案内板。
豊受大神宮(外宮)
御神祭 豊受大御神
御鎮座 雄略天皇二十二年豊受大御神はお米をはじめ衣食住の恵みをお与えくださる産業の守護神です
約千五百年前の雄略天皇の御代に丹波国(現在の京都府北部)から天照大御神のお食事をつかさどる御饌都神としてお迎え申し上げました
御垣内の御饌殿では 毎日朝夕の二度 天照大御神に神饌をたてまつるお祭りがご鎮座以来絶えることなく行われています
御遷宮は内宮と同じく二十年に一度行われ 平成二十五年十月五日に第六十二回式年遷宮が行われました
表参道火除橋です。
ここから左側通行。
橋を渡るとすぐに手水舎があります。
柄杓が30個以上ありそう。
外宮区内の案内図。
只今、せんぐう館が休館中です。残念。
一之鳥居。一対の木灯籠が脇に控え、鳥居の柱に玉串。
伊勢鳥居です。神明鳥居型で貫は柱を貫通せずに楔で固定されている。実物のあまりの大きさに錯覚かと思ったけれど、写真を見るとわずかに柱が斜めに立てられていて転びがあります。
笠木は鎬がある五角形。
写真では確認しにくいけれど、端を斜めに切り落とした襷墨です。
薄暗い参道の途中に二之鳥居。
こちらも伊勢鳥居。両の柱に玉串がつき、脇に一対の木灯籠を備えている。この写真の方が転びを確認しやすい。
そして、いよいよ正宮(豊受大御神の社殿)が見えてきました。
手前は新御敷地(=古殿地:式年遷宮用地)です。2015年の遷宮前にはここに正宮がありました。
豊受大御神正宮の板垣南御門。
写真はここまで。鳥居の柱には玉串が飾られ、その両脇に木灯籠。左脇に衛士番舎がある。
鳥居の五角形の笠木の下には、明らかな島木がある。
島木神明鳥居です。笠木と島木は平行で、笠木は襷墨だが、島木の鼻は水切。柱にわずかに転びがある。明神鳥居を意識した装飾が伺えます。
御祭神は豊受大御神、相殿神として御伴神三座を祀る。
一般の参拝者はここから入って、外玉垣南御門に設えられた御帳の前で参拝します。
神楽殿にある御札授与所で申し込み、遷宮の賛助金(初穂料)を払うと御垣内参拝といって外玉垣南御門のすぐ裏、中重鳥居の前で参拝することができます。ドレスコードがあるので夏場はよほどの気合がないと無理です。
なお、正殿は唯一神明造。檜の白木で作られた切妻屋根の高床造で平入。外宮は外削ぎで風穴が2個の千木、軒に鰹木が9本並ぶ。
www.isejingu.or.jp
江戸時代には御垣が今よりも少なく、寛政9年(1797年)発行の『伊勢参宮名所図会 巻四』を見ると、中重まで参拝人が自由に入っていたことがわかります。
外宮内にある別宮をお詣りします。
土宮、風宮の奥にある100段ほどの階段を登ります。
多賀宮(たかのみや)です。
御祭神は豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)。こちら、明治以前は高宮と書かれていたと。なるほど、ずいぶんと登りました。
豊受大御神の荒御魂をお祀りしているので、正面から写真を撮るのが憚れました。
拝殿の正面に神明鳥居に雨覆屋根がついたような門があります。最初、こういうタイプの鳥居なのではと思いましたが、柱に玉串がついていないところを見ると、神宮としては鳥居と見ていないのでしょう。
玉垣が丸木でスカスカなところとか、なんとなく原始的な雰囲気のある造りに見えます。
そういえば、鹿島神宮の奥宮も玉垣と一体化した屋根付きの鳥居でした。荒御魂を祀る形式の元祖がこちらなのかもしれません。
念の為と、『伊勢参宮名所図会 巻四』を見てみれば、
高宮に鳥居が描かれていました。あれ?
来た道を戻り長い階段を下って、土宮に参拝します。
御祭神は大土乃御祖神 (おおつちのみおやのかみ)。この土地、山田原の鎮守の神だそうで、外宮創建後は宮域の地主の神として祀られているそうです。
なお、正宮や別宮の全てが南向きに作られている中、土宮は東南を向いていることが知られています。とはいえ、全ての社が正確に南向きなわけではなく、例えば、風宮は南南西、多賀宮は南南東を向いています。
最後に風宮。
御祭神は級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)。内宮の風日祈宮と同じ神様で、農業に深い関係のある風と雨の順調をお祈りする。
帰りに通った北参道に御廐がありました。
神馬は毎月1日、11日、21日の朝に正宮にお参りするそうです。外宮の神馬は笑智(えみとも)と空勇(そらいさむ)で、両馬ともアングロアラブ種の芦毛だそうです。なんだ日本在来馬じゃないのかと思いましたが、今日本に残っているのは小型のばかりだから、乗馬には無理ですもんね。
外宮参道を歩きます。
伊勢あわびのお店伊勢せきや本店の前に、せんとくんのデザインで有名な、藪内左斗司氏が手掛けたのが丸わかりな像がありました。
おかげ犬に乗った《柄杓童子》です。いやあ、すばらしい。おかげ犬の尻尾の先にまで漂う歩きっぷりが、実に立派。
山田館。現役の旅館です。
元は大正時代に作られた木造3階建てだったのを、昭和2年に中央の唐破風のある古い建物を挟むように両側を増築したんだそうです。
お伊勢に行くまでは、古代の形式と思われる神明鳥居がたくさん見られるのではと期待していました。しかし、実際には伊勢鳥居や島木鳥居などの、明神鳥居を意識したタイプがほとんど。式年遷宮という「形」を残すための知恵を、ひとりの日本人として誇らしく思っていたのですが、これだけ回数重ねると、どこかに職人さんのアレンジ欲が加わってしまうものなんですね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません