野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」@ポーラミュージアムアネックス
例年にない暑さを記録する日々。陽が傾くのを待って、銀座ポーラミュージアムアネックスに行きました。
野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」(キャッシュ)です。
表情豊かな鎧姿の人物を制作し、国内外でも人気の若手作家 野口哲哉氏の4年ぶりとなる大型個展を開催します。
不思議な佇まいと、纏う鎧兜の精巧さが織りなす作品は、どこか他人事には思えないペーソスと、思わず微笑んでしまうユーモアが同居しています。
夕方なので会場はポツンポツンと人がいる程度。
それほど広くない展示室で光も眩しいほどでしたが、心地よいBGMが流れていて自然とリラックスできます。
展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれるのが、本展のメインビジュアル《Clumsy heart》です。
背伸びした姿がなんともいじらしい。
口紅はもちろんオルビスです。
ほどよい真剣味。
展示室の黒い壁に小さな5つの木箱が並べて展示してありました。そのうちのひとつ 《Package of Past man -armor Black “NIMAIDO" and Big “SASIMONO" -17c style》です。
ガラス蓋の木枠に綿を敷いたところに、大きな指物をした鎧姿の武者が寝かせてあります。左下にネームプレートまであって、まるで大航海時代の標本のようです。
《AD16末 – 唐冠の兜》《DA17初 – 海洋生物の兜》
三日と空けずに築地に通っていると、こんな方々によく会います。格好は違いますが、休憩中の佇まいがね。
《アクションマン・シリーズ》
縄文展などを見るにつけ、昔も今も人がやることはそれほど変わらないと感じることが多くなりました。鎧を着て気合が入ったら、侍達もきっとこれくらいのポーズをしていたように思います。
《ヒューマン・レース》
かなり走れそう。私もこれくらいの体幹がほしい。
それにしても、鎧はもちろん着物や小物に使われている古布がどれ一つ取っても同じではなくて、材料集めも相当苦労されているのではと思いました。
《AD1490 ~色威の腹巻とフランドルの景色~》
初期フランドル絵画を思わせる風景に青や赤の甲冑を付けた三人の侍が本覗き込んで神妙な表情をしています。
野口氏は絵も素晴らしいですね。ボスの《聖クリストフォロス》などで馴染みのある背景、兜から突き出した赤い帆に、声を立てて笑いそうになりました。
展示室にはBGMに『舞台管弦楽のための組曲』が繰り返し流れていました。ショーケースに入った武者姿のおじさま達の所作を眺めて微笑んでいると、気持ちが緩み、足が勝手にソワソワして動き出したくなるのでした。
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