西洋美術 VS 日本美術 十番勝負@京都造形芸術大学 東京・外苑キャンパス
10月27日、京都造形芸術大学の東京・外苑キャンパスでバトルトークショーがありました。
出演者は日本美術応援団長の山下裕二先生、そして、このたび西洋美術応援団幹事長に就任された高橋明也氏(三菱一号館美術館館長)。モデレーターとして美術ジャーナリストの鈴木芳雄氏という、豪華メンバーです。
主催はMuseumCafe/ミュージアムカフェです。
十番勝負なんて90分ですむのかしらと始まる前から心配していたのですが、そこは予想通りで、一番勝負で20分超え。五番が終わったところで残り時間10分となり、六番以降はスライドを流すだけの駆け足で終了しました(笑
印象に残った勝負をいくつか作品名を中心に以下に紹介します。
一番勝負「人気急上昇」フェリックス・ヴァロットン vs 河鍋暁斎
《ヴァロットン 貞淑なシュザンヌ》
貞淑にみえないシュザンヌ、ハゲ頭のハイライト、ピンクの手すり
《河鍋暁斎 新富座妖怪引幕》
足跡つき
二番勝負「人気 No.1」ヨハネス・フェルメール vs 伊藤若冲
《フェルメール デルフトの眺め》
三番勝負「最高評価」レオナルド・ダ・ヴィンチ vs 雪舟
西洋美術はかわいくない。西洋美術は権力の現われとしてあって権力者の顔を庶民に見せるために社会の中にあった。レオナルドは絵画を全ての人間の生業の中で一番素晴らしいものと自己定義をした。それが西洋美術の根幹になった。
《ダ・ヴィンチ 少女の肖像/<岩窟の聖母>の天使のための習作》
《ダ・ヴィンチ 岩窟の聖母》
西洋美術は個別性を出してくるのが流れなのに、天使も聖母も女性像が類型化している。
四番勝負「要注意人物」ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッショ vs 岩佐又兵衛
《岩佐又兵衛 豊国祭礼図屏風》
異常なまでの群集表現
五番勝負「ネコ」
《長谷川燐二郎 猫》
片方の髭がない猫。非常に寡作。年に二回しかこの格好で寝ないから、それまで待ってくれと言われた。
《ピエール・ボナール 白い猫》
猫の形がおかしい。背中の毛を立たせる寸前なんだろうか。
六番勝負「空間美」モネ vs 長谷川等伯
《クロード・モネ 睡蓮》
オランジュリー美術館に設置する構想で描かれている
七番勝負「彫刻」
《シェルトル大聖堂》
《円空仏 一本木造り三像(十一面観音・善女竜王・善財童子)》
八番勝負「建築」
《ロンシャン礼拝堂》
《三仏寺 投入堂》
九番勝負「ヌード」
《ピーテル・パウル・ルーベンス 三美神》
16歳のエレーヌと結婚。ゆたかな腰を描く。
《山本芳翠 浦島図》
十番勝負「好きなタイプ」
《カミーユ・コロー 青いドレスの女》
《マリーガブリエル・カペ 自画像》
《鏑木清方 遊女》
私は日本美術が好きなので、同じテーマで西洋美術は何が出てくるかが興味深く、西洋美術と比較することで、日本美術の特徴が際立つのが面白かった。つまり、日本美術はかわいいんだな。
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