常設展@岡田美術館
特別展「若冲と蕪村」の後は、岡田美術館の常設展へ。作品リストは受付に問い合わせないと手に入りませんでした。しかも、展示の一部しかないと断られて。しょうがないので、日本絵画や仏教美術は作品名をメモしながら鑑賞する羽目に。
体力と集中力の限界を感じて1階の中国陶磁・青銅器・韓国陶器を飛ばして、2階の日本の陶磁・ガラスから見ることにしましたが、それでもすごい量です。
ちなみに、1階の廊下には、足湯から見たこの風神雷神図があります。あまりに大きすぎて見上げても視界に収まりません。
気になったものを以下に示します(◎は重要文化財)。
2階 日本・中国・韓国陶磁
211《色絵野菜文皿 鍋島 江戸時代 17世紀後半~18世紀前半》
ナタ豆、唐辛子、瓜、茄子、ササゲ豆が絵付けされた色鍋島の皿。
212《色絵宝尽文八角皿 鍋島 江戸時代 17世紀後半~18世紀前半》
寿の文字の周りに、編木、宝剣、隠笠、隠蓑、打出の小槌、鐃鉢、笙、払子、巾着、冊子、巻子、法螺貝、軍配と宝物を並べた絵付けの色鍋島。
218《色絵花籠文皿 鍋島 江戸時代 17世紀後半~18世紀前半》
桜の花をいっぱいに詰めた三つの籠、下部に青海波文が絵付けされた色鍋島。籠の網目が六芒星になっている。古来から籠目と呼ばれて魔除けの意味がある。
226《白磁百合形向付 鍋島 江戸時代 18世紀》
白い百合の花の形をした向付。
227《色絵椿繋文皿 鍋島 江戸時代 17世紀後半~18世紀前半》
様々な色の椿を繋いで首飾りにしたような模様が絵付けされた7寸皿。赤い線のそばに下書きの線が見える。
235《◎ 色絵輪宝羯磨文香炉 野々村仁清 江戸時代明暦3年(1657)》
密教法具の輪宝と羯磨(三鈷杵を十字に組んだ形の法具)を絵付けした香炉。
238《◎ 色絵竜田川文透彫反鉢 尾形乾山 江戸時代18世紀》
奈良県の紅葉の名所としてしられる竜田川を主題にした透かしのある器。縁が外に広がる反鉢であるため、鉢の内面に描かれた文様が外面にまで続いているのが楽しめる。
揃いの向付が MIHO MUSEUM にある。出光美術館の《色絵龍田川文透彫反鉢》はこの夏に見ました。あっちは川の流れが主題。
244《色絵春草文茶碗 尾形乾山 江戸時代 18世紀》
蕨や土筆などの春の草がやさしいタッチで描かれている。
こんな器で七草粥食べたらおいしいだろうなあ。
3階 日本絵画
4《菊図屏風 尾形光琳 江戸時代前期 18世紀初頭》
六曲一双の金地に白菊が描かれた屏風。八重の白菊は盛り上がりがはっきりとわかるくらいに胡粉が使われている。葉は黒と緑で株ごとに描き分けられている。一双をあわせた中央に白い水の流れがある。
昨年の琳派展に合わせてミュージアムショップでこの屏風をモチーフにしたボンボンショコラが発売されて話題になりました。
6《月次扇面図屏風 鈴木其一 江戸時代後期 19世紀中頃》
一曲に三扇ずつの四曲で12ヶ月を表した屏風。伊勢物語の東下りや源氏物語の夕顔など月々にあったテーマで描かれている。
13《山水図 八大山人 清時代 17世紀末~18世紀初期》
2メートルを超える大きな掛け軸。下の水辺から遠山まで深々とした風景が広がり、画面中ほどの庵で人が景色を眺めている。辛亥革命後、日本に亡命した学者の羅振玉がもたらした。
17《浪千鳥 葛飾北斎 江戸時代後期 19世紀前半》
3階の一角に部屋を仕切って春画コーナーが設けられている。春画史上最高傑作といわれるのも納得のすばらしい色彩とすさまじい構図。
18《武蔵野図屏風 江戸時代前期 17世紀》
六曲一隻の屏風。横に三分割の構図で上が金一色、中央にススキの原、下は黒ずんで靄を表している。月を表す黒い円が中央のススキに埋もれて描かれており、とても不思議な空間となっている。
22《雁図 葛飾北斎 江戸時代 弘化4年(1847)》
雁と紅葉。雁の脚が猛禽類のように異様に太く描かれている。
24《前赤壁図襖 春木南湖 江戸時代後期 19世紀前半》
25と表裏の関係。 中国宋時代の詩聖蘇軾(蘇東坡)が、流刑地の長江に面した断崖の絶景を詠んだ「赤壁賦」を主題にしている。初秋の月夜、蘇東坡は客人と酒を飲んで歌う。客人が歌に合わせて悲しい音色で洞簫を吹き、人生のはかなさを愁うと、蘇軾は物事の可変性と不変性を説いた。二人は江上の清風と明月を楽しみ、語り合い酒を酌み交わし酔いしれて寝てしまったという内容。
25《後赤壁図襖 谷文晁 江戸時代後期 19世紀前半》
24と表裏の関係。蘇軾(蘇東坡)の「赤壁賦」の後に詠まれた詩「後赤壁賦」を主題にしている。長江が音をたてて流れ両岸の高さは千尺、山は高く月は小さく、水がほとばしって石が露出する、前回の訪問からいくらも経ってないのに見知らぬ景色のように見える。鶴が東から飛んできて舟を掠めて飛び去る。
26《檜に啄木鳥・紅梅に鴛鴦図 酒井抱一 江戸時代後期 19世紀前半》
檜の幹を突く啄木鳥。根元に烏瓜。幹の青苔と檜の葉が青々としているが季節は冬。啄木鳥が幹を突くたびに樹上から粉雪が舞う。雪の積もる下に紅く蕾をつける梅。根元にはヤブコウジ。水面を眺める番の鴛鴦。
28《深川の雪(複製) 喜多川歌麿》
浮世絵史上最大の掛軸画で《品川の月》《吉原の花》とともに「雪月花」三部作の一つ。本作は2012年に日本で再発見されて岡田美術館収蔵となった(他は米国にある)。上下に青灰色のすやり霞。深川の料理茶屋の2階座敷を舞台に、藍、茶といったの渋めの着物の辰巳芸者や飲食の用意をする女性たち総勢27名が描かれている(うち1名は男児)。女達の口には笹紅。
複製だからなのか笹紅の色が青かった。
32《竹生 速水御舟 昭和3年(1928)》
画面右半分に金色の葉がざわめく竹林。
5階 仏教美術
40《◎木造薬師如来坐像 平安時代 11世紀》
一木造りの薬師如来像。顔は円く、眼は伏目、髪の螺髪が小粒なのが特徴。
45《束帯天神像 室町時代 15~16世紀》
貴族の正装であった束帯姿の菅原道真。
開館してすぐに入って、圧倒される作品群に打ちのめされて、ぼうぼうの体で岡田美術館を脱出したのが14時。昼ごはんも取らずに黙々と展示物を見て4時間を費やしました。天気がよければ広大な庭も回れたのに残念。ここは一日かけて過ごす場所ですね。
次の展示会に向かって沼津方面へ移動し、夫のたっての希望で三島でうな丼。
昼ご飯抜きで干からびかけていた体に血の気が戻った。
帰宅してから確認したところ、公式サイトで作品リストのダウンロードができました。
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