動物集合@東京国立近代美術館工芸館
東京国立近代美術館工芸館に行きました。
この赤レンガ造りの美しい建物は、旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したもので重要文化財に指定されています。明治43(1910)年、陸軍技師田村鎮(やすし)が設計した2階建煉瓦造で、正面中央の玄関部に小さな八角形の塔屋をのせ、両翼部に張り出しがある簡素なゴシック様式です。
今回のお目当ては動物集合展。
染織と動物
《Nature’s Talk ’93-1 中島直美 1993 綿、シルクスクリーン》
白と黒のペンギンの群れ。写真でぼやけて見えるのは二枚重ねになっているせいで、ペンギンの布の上に地球の模様の布が重ねてある。
身近な動物
《猫に小判 結城美栄子 2004 陶器》
難しそうな本の上で丸くなって眠る猫。遠くてよく見えなかったけれど、本の表紙にお金が描かれていそうな。
《猫 大塚茂吉 2005 陶、テラコッタ》
横から見ると実に姿勢がよくて、微笑ましい。
《雪装雑木林月夜飾箱 増田三男 2002 銀、鍍金》
森の中、雪に黒々とつく兎の足跡。側面に穴の中で休む兎。このラグビーボールのような半月は抱一や其一の絵でよく見かける。
上弦の月、下弦の月と言っても弦が名前の通りの向きになるのは、月が沈む頃だけ。上弦の月は昼間に出て夕方正中になって夜中に沈む。下弦の月は夜中に出て明け方に正中になり昼間に沈む。この作品の月は左東向きなので上弦の月。弦が下を向いているので昼間の月。
空想の動物
《銀打出花器 濳龍 大角幸枝 2009 銀、金箔》
龍の蛇腹を思わせる形。
《野獣 チェスワフ・ズベル 1992 ガラス、ハンマーによるカット、油彩》
一部拡大
ハンマーでガラスをカットするという技法で作られている。よく見ると、一部に落書きチックな絵が描いてあっておもしろい。
鳥
《十二の鷹 – 参、伍、六 鈴木長吉 1893 青銅、漆、鋳造、鍍金(金、銀、銅、赤銅、四分一)、象嵌(金、赤銅、真鍮) 》
銅などの材質で作った12羽の鷹のうちの三羽。鈴木長吉は実際に鷹を飼って写生を繰り返したという。1983年のシカゴ万博博覧会に出品し高い評価を得た。
魚、虫、その他の動物
《白地黒絵魚文扁壺 石黒宗麿 1940 陶器》
白化粧の扁壷(へんこ)に鉄絵具で魚文がくっきりと描かれている。鱗やひれは鋭利な道具で引っかく「掻き落とし」の技法による。内側にも釉薬がかけられている。
《蒔絵棗 金魚 田口義明 2004 漆、蒔絵》
《蛍蒔絵高棗 中野孝一 不明 漆、蒔絵、螺鈿》
《蒔絵螺鈿平棗 水映 室瀬和美 不明 漆、蒔絵、螺鈿》
《秋蒔絵棗 田口義明 不明 漆、蒔絵、螺鈿》
《ブローチ 桑の木と甲虫 ルネ・ラリック 1900 金、七宝、真珠、オパルセント・ガラス》
《ブローチ 翼のある風の精 ルネ・ラリック 1898 金、七宝、ダイヤモンド》
《野原蒔絵小箱 田口善国 1968 漆、蒔絵、螺鈿》
印籠蓋造り、長方形の小箱の蓋面と二つの長側面は、金地に銀平文を点々と引いて野原にそよぐ薄を表現している。短側面は青貝の細片が敷き詰められており、そこにバッタ四匹が黒漆で高上げにしてある。
きれいなもの、かわいいもの入れ混じっての約130点。一部を除いて写真撮影可。一時間半の滞在でした。出展品の他にも、工芸館は椅子などがとても素敵なので、座り心地を確かめたりと、そっちにも興味を惹かれました。
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