明治神宮

2023年7月16日

都心の緑がすっかり色づいた頃、明治神宮ミュージアムが開館したとのことで明治神宮に行きました。

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一部、10月の紅葉前に行った時の写真を混ぜて紹介します。

 

表参道

都市化が進んで忘れがちですが、元々は明治神宮の参道です。
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表参道交差点にある巨大な石灯籠は昭和11年造で伊東忠太氏が設計したもの。基礎も相当大きいが、均整が取れているため遠くから見ると高さを感じさせない。春日型灯篭で、火袋は格子になっている。宝珠が乗る角笠は膨らみがなく、竿も直線性が生きている。

参道に向かって左側(みずほ銀行がある側)の石灯籠は台座の一部が欠けている。太平洋戦争末期の大空襲の焼夷弾が残したものだという。火災旋風に巻き込まれ、ここで多くの人が折り重なって亡くなった。石灯籠の裏に「和をのぞむ」と刻まれた追悼碑がある。

神宮橋

表参道の終点、山手線をまたいで神宮橋がある。
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高さ4.7m、石灯籠形の親柱。
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こんなものを設計するのはひとりしか思い浮かびません。当然、伊東忠太設計です。

神宮橋は1964年の東京オリンピック開催に向けて架け替えられたが、初代の外観を残し石材を磨き直して再利用した。

いよいよ明治神宮の境内に入ります。

一の鳥居

根巻のある檜の明神鳥居。
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島木に皇室を表す菊紋が三つ入っている。

南参道

玉砂利が敷き詰められ、両脇にはバリアフリー用のスロープがある。
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明治神宮のために作られた人工林の中を通る。約73ヘクタールの境内は、全国青年団の勤労奉仕で造苑整備されたもので、これらの木々は全国よりの献木されたものを植樹した。

神橋

御苑内にある清正井、南池(なんち)から続く流れを渡る。
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下流は原宿駅の下で暗渠に入り、渋谷川に注がれる。

奉献酒樽

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奉献ワイン樽

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立灯籠

鳥居の両脇や参道、境内のあちらこちらに同じデザインの立灯籠がある。
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基台から竿までが石で中台以上は木製。猪目のある懸魚付きの銅版葺き切妻屋根で火袋は格子。八角柱の竿に猪目懸魚に似た形の銅製飾りが施されているのがどことなく西洋風で、近代日本の西洋化を進めた明治天皇の偉業を思い起こさせる。

前記事でも触れたが、八角柱なのは「八隅知し」が「大君」にかかる枕詞であることなど、「八」が天皇にまつわる数字であることに関係しているのだろう。

大鳥居(二の鳥居)

南参道と北参道が合わさる場所にある高さ12メートルの巨大な明神鳥居で、島木に菊紋が三つ入っている。
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木製鳥居としては日本一の大きさを誇る。台湾の樹齢1500年を超えるヒノキが使われた。

明治神宮御苑

江戸後期は井伊家下屋敷だった庭園が明治時代に入って宮内庁所轄の南豊島御料地となり、明治天皇、昭憲皇太后が度々訪れた。

隔雲亭

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東京大空襲で焼失し、戦後に復元された。

南池

昭憲皇太后はここでの釣りを好まれたという。
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ここは絶好の野鳥観察ポイントです。冬の水鳥がたくさん泳いでいました。

菖蒲田

明治天皇が昭憲皇太后のために植えさせられた菖蒲田。
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菖蒲の見頃は6月です。

今回は紅葉が燃えるようでした。
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清正井

江戸時代初め、この地は肥後藩藩主加藤家の別邸で、加藤清正の子・忠広らが住んでいた。この湧水の井は加藤清正が掘ったと言い伝えられる。
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実際は自然湧水。

年間を通して15度前後の水が湧き出している。
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この日は寒かったので、手を浸すとぬるく感じました。

祓所

参道の終着点で三の鳥居の手前、右側に祓所がある。
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銅板葺切妻造り三間四面の四方開け放し。切妻屋根が二重になっているようなデザインが面白い。

手水舎

南参道の終着点で三の鳥居の手前、左側に手水舎がある。
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銅板葺切妻造り一間四面の開け放し。根巻のある柱は四方転びで、控柱が二本ついている重厚な造り。相撲土俵と対になって建っていて、こちらも切妻屋根が二重になっているデザイン。

南玉垣鳥居(三の鳥居)

檜製の明神鳥居で、これにも島木に菊紋が三つ入っている。
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木曽檜製の新品です。白く輝いています。

青い空に映える。
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五角の笠木だけでなく貫と楔の上面や柱と貫の接合面にも雨覆いが施されているようです。よくよく見たら他の鳥居も同じでしたが、古びると木が黒ずんで目立たなくなるので気が付きませんでした。

工事を請け負った清水建設のサイトに詳しい記事がありました

www.shimz.co.jp

客殿

三の鳥居をくぐってすぐ左側にある。
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脳裏に出雲大社の勅使館のイメージが蘇り、すぐに伊東忠太設計の建築物だとわかりました。屋根を葺き直したばかりで一見新しく見えるから、見逃すところでした。明治神宮の初期の建物は空襲で全で焼失したと思っていましたが、結構残っているんですね。

切妻屋根の妻に庇が伸びるのが向拝のように見える。
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こちらは、結婚式などの控室として使われているようです。
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南神門

銅板葺入母屋造り、檜の素材で作られた初層上層ともに桁行三間梁間二間の三間一戸の楼門。両脇に潜門と回廊が続く。
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軒下の斗組には木口に白が塗られ、古びて黒ずんだ材とコントラストを作っている。

扉に入った神紋の透かしがやたらと怪しい。
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こんなことをするのは、あの方しかいません。五三桐はともかく、菊を図案化したものだと思いますが、まるで向日葵のよう。だいたい透かしが大きすぎる(だから面白い)。

設計士がわかってから観察すると、丸柱にわずかながら膨みがあるのに気がつく。エンタシスです。伊藤忠太の学位論文が法隆寺の支柱の胴張りとギリシャ建築のエンタシスを関連づけたものであるのは有名です。こんなところで実践していたとは知らなかった。

こんなのに、
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こんなのまで見つけてしまった。
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相当に猪目好きらしい。

回廊

切妻造りの回廊。
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吊り灯篭に神紋が入る。方形で幅広なのが珍しい。

季節がよいので結婚式が何件も行われていました。
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拝殿

立派な神木の楠に挟まれて拝殿が見える。
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左は二本のクスノキで出来た「夫婦楠」で、両方の幹にしめ縄が渡してある。

下は2017年6月訪問時のもの。当時改装工事の最中でしたが、拝殿の屋根が青銅色をしていたことがわかります。
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この度、明治神宮鎮座百年大祭を記念して境内整備や御神宝の修復が行われました。緑青が出ていない銅色が輝く神社建築物を拝めるのは今だけです。

外拝殿は銅板葺総檜造で、神社建築では珍しい入母屋造り。
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どうやら忠太設計の旧拝殿は檜皮葺の入母屋造りだったようで、それを継承したようだ。

昭和33年(1958)年造営。設計は角南隆氏。
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参拝時に内拝殿を見ることができる。内拝殿も銅板葺だが、入母屋造り平入りの母屋に棟高が同じ妻入りの切妻造りが十字に合わさった構造で唐破風向拝が切妻に重なる。本殿は遠くて見ること叶わず。
なお、改めて言うまでもなく、主祭神は明治天皇と昭憲皇太后です。

長殿

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お守りなどの授与所がある。

神楽殿

銅版葺の錣屋根の地上一階、地下二階の建物。
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妻側に入口があるので分かりづらいが、Google Map で見たら奥にものすごく長くて驚きました。800人を収容可能。

車祓所

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明治神宮ミュージアム

南参道を戻って、ようやく今回の目的地へ。2019年10月26日に開館した明治神宮ミュージアムです。

設計は今の日本を代表する建築家の隈研吾氏。
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一階はメインロビーと杜の展示室(常設展)がある。杜の展示室では明治神宮の歴史や四季折々の営みが模型や映像を多く使って展示されている。

二階もガラス面が多く、外との一体感が感じられる。
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二階展示室では特別展「 天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」の前期展示があった。今まで宝物館で保管されていた明治天皇ゆかりの品々が並べられている。中でも金色の鳳凰を頂く《六頭曳儀装車》や《明治天皇御料 黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)》は中々実物を見ることができないものなので、貴重だった。

トヨタセンチュリーに引き続き、儀装車も観られて満足です。

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帰りに表参道を通ったら、すごい人でした。
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京都に限らず、都心も観光客でオーバーフローぎみです。