超・日本刀入門 ~名刀でわかる・名刀で知る~静嘉堂文庫美術館
静嘉堂文庫美術館に行きました。
お目当ては、この日から始まった展示会、超・日本刀入門 -名刀でわかる。名刀で知る-です。
武士の魂“日本刀”は、1000年におよぶ歴史のなかで、武器として武人を鼓舞し、美術品としても鑑賞されてきました。近年ブームに沸きながら、しかし道具としても美術品としても身近ではない日本刀。「全部同じに見える」「どこを見ればいいのか分からない」「専門用語が難しすぎる」といったさまざまな疑問やお悩みを徹底的に解決します!
まさに、私のようなこれから日本刀を見ようとする人向けの企画です。しかし、初心者以外には物足りないのないかというと、決してそんなことはなくて、今回、静嘉堂所蔵の刀剣約120振のうちから、国宝1件と重要文化財8件を含む厳選の30振を一堂に展示したそうで、そんなことは美術館開館以来初めてだという程の大盤振る舞いらしいです。むしろ、日本刀ファン必見の展示だそうな。
入場すると、本展のちらしと展示品リストの他に日本刀鑑賞の手引きがもらえます。
鑑賞の手引きには、日本刀の形態による分類、製作時代による分類、刀の部位の名称、刀のみどころ(刀文、肌、造り込みの種類、沸と匂)が丁寧に解説してあります。
そして、展示室の入り口にも、鑑賞のコツがパネルにしてありました。普段、展覧会で説明文をあまり読まない私ですが、今回ばかりはじっくりと読みました。ふむふむ、自分が上下に動いて視点を変えて見るのがポイントなんですね。
展示室はこんな雰囲気です。
通常展示室内の撮影は禁止ですが、今回私はブロガー内覧会に参加し、特別に美術館から撮影の許可を頂きましたことをお断りしておきます。
以下、気になったものを以下にあげます(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。
《◉手掻包永太刀 包永 大和国 鎌倉時代(13世紀)拵 江戸時代(18~19世紀)》
鎬(しのぎ)が高く反りも高い。鍛え肌は板目肌が流れて柾目交じり。刀文は中直ぐ調で部分的に乱れる。
《◎新藤五国光太刀 國光 相模国 鎌倉時代(13~14世紀)》
まず、国光の作が生ぶ(切り詰められないままの姿)で残っているのが珍しい。小切先で鳥居反り(反りの中心が刀身の中程。全体が鳥居の笠木(上の水平に渡している木)のような形をしたもの)。
右《◎古備前高綱太刀(号 滝川高綱)高綱 鎌倉時代(12~13世紀)附 朱塗鞘打刀拵 桃山時代(16世紀)》
左《伝 長船兼光刀(号 後家兼光)大磨上げ無銘 南北朝時代(14世紀)附 芦雁蒔絵鞘打刀拵 明治時代(19世紀)》
二子玉川駅から静嘉堂文庫美術館に向かう玉31系統のバスの中にも目立つところに、後家兼光の写真に「秀吉から愛の武将、直江兼続に送られた」のコピーがついた広告が貼ってありました。そういえば、堺雅人があさイチで真田丸で妻にするなら直江兼続と即答してたな、秀吉と真田信繁で取り合いかあなんて変な妄想してしまいましたよ。
《津田助広刀 「津田越前守助廣」ト有 摂津国 江戸時代(18~19世紀)附 黒蠟色塗鞘打刀拵 江戸時代(19世紀)》
今回の特別展示品。静嘉堂文庫の刀剣コレクションは三菱第二代社長、岩崎彌之助明治20年(1887)頃から本格的に収集したものです。岩崎は若い頃に私塾で同級生と争いになり、切りかかってきた相手の刀を受けて逃れたという事件があったそうで、その時のキズがこの刀の棟に生々しく残っていました。
刀装小道具・鍔の展示も多くあります。
《藤蔓巻柄黒研出鮫印籠刻鞘合口拵(佐吉貞短剣刀 付属) 江戸時代(18~19世紀)》
黒の鮫肌に金で松毬模様が描かれている。
《石黒是美作 花鳥図大小鐔・三所物 – 江戸時代(19世紀)
石黒派は花鳥を題材とし、高彫りで各種の色金により象嵌を施した絢爛華麗な作風が得意。黒地に錦鶏と大輪の牡丹を描いている。緋色銅が鳥の腹や尾羽に使われていて華やかでした。
《京透し(大五郎)文字透し鍔 無名 江戸時代(18世紀)》
暮、幕、墓、蟇、慕、募の文字が図柄を残し地を抜いた、地透で作られている。
本展では日本画の展示も二点あります。
《◎平治物語絵巻 信西巻 紙本着色1巻 鎌倉時代(13世紀)》
平治物語絵巻は、1160年に起きた平治の乱のおよそ100年後の鎌倉時代中期に描かれたと考えられ、本品の他に《三条殿夜討巻 ボストン美術館》と《六波羅行幸巻 東京国立博物館》の合わせて3巻が現存している。今回展示されているのは、追われた信西は自害し従者に埋められたが、掘り返されて首実験をされた後、なぎなたの先に首を刺した騎馬隊が都大路を進んで晒されたという場面。NHKの大河ドラマ平清盛では阿部サダヲが信西を演じていたので、つい、あのお顔が晒し首になっているのを想像してしまいました。上の写真に見えるのは待賢門の戦いの場面。
帰り二子玉川駅近くで、冬の具だくさんしっぽくうどんとミニ天丼。
体が暖まりました。
- ジャンル:和食(その他)
- 住所: 世田谷区玉川2-23-1 二子玉川ライズドッグウッドプラザ 8F
- このお店を含むブログを見る |
- (写真提供:つばさ1007)
- をぐるなびで見る |
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして このセミナー、行きたかったんです。その日は、しぶやで縄文関係のワークショップがあって、いけませんでした。
刀の科学もおもしろそう。東ハクの常設展。私もいつも、スルーだったので、このツアー参加したかったです。そして河野先生のお話もお聞きしたかった・・・・
参加できなかったため展示の内容などがわかり、ありがたいです。
コメントありがとうございます。
この展示会は、超とつくだけあって、手引きや展示パネルの説明が丁寧で、日本刀を鑑賞する良いきっかけになりました。しかも内覧会で写真を残しておけば、記憶の助けになるので、より学びが多いのがうれしいです。
日本刀の科学はとても面白いのでお勧めです。私の場合、どうしても科学的な疑問が前に立ちはだかって、そこが解消しないことには美的興味に進めないでいたので、この本のおかげで、ようやく美術品として見られそうです。