浮世絵 六大絵師の競演―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重―@山種美術館

山種美術館では、現在、【開館50周年記念特別展】山種コレクション名品選Ⅱ 浮世絵 六大絵師の競演 ―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重― – 山種美術館が開催中です。

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今日は、青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会 「【開館50周年記念特別展】山種コレクション名品選Ⅱ 浮世絵 六大絵師の競演 ―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重―」(@山種美術館)を リアルタイムでレポートしよう! – 山種美術館に行ってきました。特別に館内撮影可という、ありがたいイベントです。

 

特別ゲストとして、國學院大學文学部教授の藤澤紫氏のワンポイント解説がありました。今回もかなりの展示数なため、駆け足ではありましたが、展示物の見所がわかって有意義でした。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》山種美術館蔵

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会場入ってすぐに目に飛び込んできます。そびえ立つ赤富士が実に見事。

 

奥村政信《初代市川門之助の頼光と初代袖崎三輪野の花園姫》山種美術館蔵

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上作品の部分拡大

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漆絵は紅絵のさらに黒の部分を強めるために黒漆や膠入りの光沢のある墨で筆彩したもの。斜めに光をかざして見ると、頼光の着物に空摺りで凹凸の模様を加え、膠墨で発色してるのがよくわかります。さらに花園姫の着物にも部分的に黄銅色の粉がまぶされて、全体的に豪華に仕上がっていました。初期浮世絵界巨匠の技です。

 

歌川春好《四代目岩井半四郎、初代浅尾為十郎、三代目瀬川菊之丞》山種美術館蔵

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浮世絵の紫はツユムラサキとベニバナの色素から作るそうで非常に退色しやすい。ここまで鮮やか淡い色彩が残っている作品は珍しいとのこと。今後もこの儚い紫を後世に残してほしいです。

 

東洲斎写楽《二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉》山種美術館蔵

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写楽は、わずか10ヶ月程度の活動しかなく多くの謎に包まれた絵師です。写楽の作品は多くが海外に流出してしまいましたが、山種美術館ではよい状態の写楽を見ることができます。役者の特徴をグロテスクなまでに誇張して捉え、表情もポーズも大胆なのが特徴です。こちらの絵でも、役者の顔に皺を描いています。おかげで絵の売れ行きも、描かれた役者からも評判が良くなかったそうです。

上作品の部分拡大

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背景に黒雲母摺。肌の色と背景のコントラストで、絵の印象が締まります。

  

右:歌川豊国《役者舞台之姿絵 高らいや 三代目市川高麗蔵の千崎弥五郎》、左:歌川豊国《役者舞台之姿絵 やまとや 初代坂東蓑助の早野勘平》ともに山種美術館蔵

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右側のモデル、三代目市川高麗蔵は「鼻高幸四郎」の異名を持つようになる個性的な容姿の役者さんだったそうです。なるほど。確かに鼻が高い。左のモデル、坂東蓑助はすっきりとした目元が特徴の美男子だったそうです。

写楽と違って豊国は、容姿の特徴を良い印象になるように描きます。好きな役者の絵を買うなら、かっこよく描けているものが欲しいに決まってます。当時、写楽よりも豊国の浮世絵が評価されてたのは仕方がないことでしょう。

 

喜多川歌麿《青楼七小町 鶴屋内 篠原 》山種美術館蔵

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上作品の部分拡大

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気持ち悪いくらいに丹念に生え際が描かれています。毛割という彫師の腕の見せ所。江戸時代には、1ミリの幅に7本の毛を彫る職人もいたとか。

 

歌川広重《東海道五拾三次 小田原・酒匂川》山種美術館蔵

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この山の色!さすが初摺りです。こんなの見たことがありません。おかしいと思って、ネットで小田原・酒匂川の画像検索をしました。印象がまったく違うもの。今まで私が見ていたのは何だったんでしょう。浮世絵に今まで興味が沸かなかったのは、あまり良い状態のを見ていなかったからだと思い知らされました。初摺りを見るのは大事ですね。

 

歌川広重《東海道五拾三次 丸子・名物茶屋》山種美術館蔵

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当時の浮世絵は今で言うグルメ情報誌の役目もしていました。ここに描かれているのは、芭蕉が「梅 若菜 丸子のとろろ汁」と句に詠んだ丸子宿の名物とろろ汁屋。店の看板や壁にメニューが読め、東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんを思わせる二人がとろろ汁を食べています。

歌川広重《東海道五拾三次 原・朝之富士》山種美術館蔵

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大きく富士山が見える名所だそうです。なるほど、確かに大きな富士山。枠からはみ出ています。広重には、こんな構図の絵もあるんですね。驚きました。

 

歌川広重《武陽金沢八勝夜景(雪月花之内 月)》山種美術館蔵

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(雪月花之内 月)とあるのは、他に雪と花に相当する作品があるからで、並べて展示してあります。雪は木曽路の雪景色を描いたものですが、花が阿波鳴門の渦を描いたもので、渦潮の水しぶきを花に見立てているのに面白味を感じます。

美術館併設のカフェではイベントにちなんだ和菓子を頂くことができます。これは上の武陽金沢八勝夜景をモチーフにしたものです。

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金柑風味の道明寺餡が使われています。海に浮かぶ船と月が実に涼しげ。

オヤツの後に、藤澤紫先生のスライドレクチャー。

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一般的に浮世とは「定めがないこの世」という厭世観から来る言葉だが、浮世絵の浮世は、ウキウキと楽しく過ごすための情報を得るための絵という意味だそうで、英語では floating world と訳すそうです。

 

作品数が多いので時間内にとても見切れず、駆け足になってしまったのが残念でした。おかげで写真もかなり荒っぽいことに(言い訳