東洋・日本陶磁の至宝-豊麗なる美の競演@出光美術館

連休最後の日、板谷波山目当てに出光美術館に来ました。

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出光美術館では、「開館50周年記念 東洋・日本陶磁の至宝-豊麗なる美の競演」が開催されています。

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出光美術館のコレクションの中から、中国・朝鮮・日本陶磁の選りすぐりの作品を展観するもので、明・清時代の皇帝・宮廷用に作られた景徳鎮官窯の華やかながらも精緻なうつわ。高麗時代の「翡色青磁」にみる朝鮮陶磁の端正さ。志野・織部、野々村仁清、尾形乾山、古九谷、柿右衛門、さらには近代陶芸の巨匠・板谷波山の作品など、多彩な日本陶磁が並びます。

 

焼き物は勉強不足でさっぱりわからないのですが、わからないなりに気になったものをメモとしていくつか。

 

景徳鎮官窯《青花臙脂紅龍文瓶》中国 清「大清乾隆年製」銘

像頭の取っ手には金色の環、青花と呼ばれる染付けで描かれた佩飾(装身具)と雷文と波濤、胴には臙脂紅で五爪龍と蝙蝠が描かれています。蝙蝠は蝠が福に通じることから吉祥文様なんだそうです。見るからに華やかです。

 

美濃窯《鼠志野草花文額皿》桃山時代

名前のとおり鼠色をした四角の額皿で、千鳥の足跡のようにも見える草花文が描かれています。落ち着いた雰囲気が素敵です。ふっと息を吹きかけたら綿毛のついた種が飛びそう。

 

美濃窯《織部蓬莱山文蓋物》桃山時代

織部の特徴である緑釉がかけられ、蓋の取っ手は蔓のついた瓢箪。蓬莱山のふもと、波頭の上に耳が異様に長い兎が描かれています。因幡の白兎かな?

 

磁州窯系《白地黒掻落鵲文枕》中国 北宋時代

斜めに傾いた皿のような形で白地に鵲が描かれています。縁に黒釉があります。実は白地の上に黒釉をかけた後、黒釉だけを掻き落として文様をつくる技法なんだとか。雲型というかスペードのような独特の形は、如意頭と呼ばれて思いのままになるという意味があります。如意は仏教用具のひとつです。鵲は瑞兆を告げる鳥として吉祥を表します。陶枕(とうちん)といって枕なんだそうです。見るからに寝にくそう。

 

重要文化財 尾形乾山《銹絵染付金銀白彩松浪文蓋物》

硯箱のような形。金銀黒白で松林。斜めにたわむ松の姿に風が感じられます。内側は白地で波の模様。素地はざらつきがあって砂浜をイメージさせるという、隅々に意匠を凝らした品です。

会場に入って、勉強不足のため手探りのまま作品を眺めている時に、こういうわかりやすいものに出会うとホッとします。素人にもわかるほど優れた表現です。

 

尾形乾山《色絵芦雁文透彫反鉢》江戸時代中期

琳派好きなら目を止めずにはいられない造形です。下部に緑色の葦、直線で描かれた黒い霞に驚かされます。空に羽ばたく黄金の雁は、鉢の表面では写実的ですが内側では文様化します。透かしが入ることで奥行きが増し、風景に広がりがあります。

 

建窯《禾目天目茶碗》中国 南宋時代

天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた陶器製の茶碗。黒釉に茶色や銀色の細かい縦筋が入り、これを稲の穂先の芒に見立て禾目天目と呼ぶそうです。禾目がキラキラと光ってきれいでした。

 

同安窯系《珠光青磁茶碗》中国 南宋時代

淡黄色で底の方は薄緑色をしている青磁の茶碗。外側に猫掻き手という櫛目文様、身長が足りず見づらかったのですが内側に曲線の模様がありました。とても茶の緑が映えそうな色合いです。わび茶の祖である村田珠光が愛蔵したことから珠光茶碗と呼ばれるそうです。

  

最後に、板谷波山。お目当てといっても、波山の作品を見るは、これで二回目。夏に泉屋博古館で初めて見て気に入りました。

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板谷波山《葆光彩磁花卉文花瓶》昭和3年(1928)頃

淡い色彩で描かれた植物がとても美しい壺です。なんと静かで優雅な佇まい。この一角だけ光り輝くようでした。

 

板谷波山《淡黄磁扶桑延壽文花瓶》昭和10年(1935)頃

 ほんのり黄色味がかった白い壺で芙蓉の根元に白い犬が描かれています。波山は北海道犬を飼っていたそうなので、きっとモデルは道犬。こんなところで、和犬モチーフの品にめぐり合えるとは。 

 

出光美術館はいつも空いてて、上質な展示品を心行くまま眺めることができるのですが、今日は驚きで声が出るくらい混雑していました。ざわついて、終いには係りの人が注意する声も響いていました。明らかに興味なさげな人も混ざっていたので、タイミング悪くどこかのツアー団体と鉢合わせしてしまったのかもしれません。敬老の日で無料招待とかあったんでしょうか?いつものようにリラックスできる雰囲気ではなかったのが残念でした。

 

休憩室から望む皇居。雲が重くみえます。

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今にも降りそうだと思ったら、案の定、外に出たら雨。

 

帰りに銀座で海苔トースト。

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これぞ、組み合わせの妙。