「昆虫」展@国立科学博物館
日傘を差していても暴力的な日差しにおののく毎日です。この日は通勤電車に揉まれて上野へ向かいました。
国立科学博物館で開催中の特別展「昆虫」に突撃です。
平日の朝なので、行列はありませんでした。
それほど昆虫には思い入れがないので、単なる昆虫展なら行くことはなかったのでしょう。でも、このポスターがあまりに見事だったので、これは行くしかないと。
何度見ても惚れ惚れします。
トーハク縄文展の帰り道にこんなこともありました。
トーハクの帰り道、科博の前を歩いていたら、前を行くふたり組が「来週から香川照之の昆虫展があるらしいよー」と話してた。
え?そんなタイトルだったっけ?
— クマ (@MelonpankumaA) 2018年7月7日
そんな特別展があったら、私、毎日のように通いそう。
本展は、昆活マイスター香川照之氏と、オサムくんとホタルちゃんが音声ガイドを務めていました。美術関連の展覧会で音声ガイドを使うことはないのですが、今回はもちろん使います。音声ガイドについてくる昆活キャップも貰いました。チラシとカメラで手が足りなくなったので、頭に被ったところ、単眼鏡はあるわ、音声ガイドのヘッドホンはあるわ、昆活キャップはあるわで、頭の周りがごちゃごちゃして、とんでもないことになりました。
昆虫とは
この日の展示室は空いていました。夏休み前で大人の方が多いくらいです。展示室に入ると巨大昆虫模型のお出迎え。
迫力あります。
複眼がみっしり。蚊ってこんな顔していたんですね。
クワガタのお面(昆活キャップ)を貰ったので、せっかくだからボディの輝きが美しい巨大クワガタと記念写真。
音声ガイドを借りると先着で昆活キャップが貰えます。これ被って展示室をウロウロしていた大人は私だけでしたけどね(恥
昆虫の多様性
関東近辺、沖縄、アマゾン流域それぞれの、人家周辺、林縁、林内、流水域、止水域に棲む昆虫が紹介されていました。
タイヨウモルフォの標本です。
中南米固有の開張15センチに及ぶ大型美麗蝶で、アマゾンの帝王の名がある。
形態の多様性を知る展示。
大小の蝶や甲虫類の標本が並びます。
コガネムシ科カブトムシ亜科。
右がアクタエオンゾウカブトムシ、真中の大きいのがネプチューンオオカブトムシです。右の小さいのは名前を控えそこねました。
世界最大級の昆虫メガスティックの一種。
60センチ超です。私、さほど虫が苦手なわけではありませんが、森でこんなのに出くわしたら恐怖しかありませんね。
奇妙な形のツノを持つツノゼミの標本。
シカツノゼミ。
どれもこれも奇抜な形です。研究者もなぜこのような形のツノを持つのか、理由がわからないとか。一体どんな自然選択要素があったんでしょうね。
《マルヨツコブツノゼミの35倍模型 吉田雅則、いわたまいこ》
すごい模型がありました。形がエグい。コブが5個もついています。
コブさえなければセミぽいのに。
実際の標本は模型のすぐ右にピンで固定してあって、体長5ミリほどでした。
Gの部屋
ここに展示されているのは、お家で会うのは勘弁な方々です。
生体展示も多く、大きいの小さいの珍しい模様や色のゴキブリがいました。一部キャーキャー言ってる人もいましたが、比較的みなさま落ち着いて観察されいました。
昆虫の生態
昆虫の生態について、食べる、住む、たたかう、まもるという項目ごとに解説と展示がありました。
「すむ」
ここではさまざまな住みかに適応する昆虫の姿が紹介されていました。
「まもる」には擬態する昆虫たちの標本が展示されていました。
鳥の顔のような模様のあるもの、枯れ葉のように見えるもの。
昆虫の能力
昆虫の身体能力は極めて高い。水の上を歩くアメンボや空を飛ぶトンボなど、人間にはなかったり、より優れた能力を持つものがいる。ここでは、昆虫の驚異的な感覚器官を展示しています。
人には見えない色彩感覚、偏光を識別するアゲハチョウ、走光性のメカニズム、カイコガの性フェロモン、音響コミュニケーション、セミの聴覚について学べます。このコーナーはほとんどが撮影不可でしたので、雰囲気だけ。
昆虫研究所
昆虫採集の道具。
虫取り網や昆虫トラップの他に、研究者が実際に身につける作業着や帽子、蚊取り線香などの虫除けまで展示があります。昆虫採集のマナーについても詳しく解説してありました。
そして、昆虫コレクションの展示コーナー。圧巻です。
この他に、汎用SEMを使ったナノスーツ法が紹介されていました。加速電圧1kVで大して高倍率でもなかったし、外骨格のある成虫なら金属蒸着しても変形することなくSEMで観察できることは経験済みなので、今回はわかりやすさを重視したのかなと思いました。後で調べたこところ、ナノスーツ法だと in situ 観察できるところに利点があるようです。俄然興味がわきました。
中央にヤンバルテナガコガネのホロタイプ標本がてんじしてありました。
ホロタイプ標本とは、新種を命名し定義する際に、その種の一番の基準となる標本を論文の中で特定する。これをタイプ標本と呼ぶ。複数のタイプ標本がある場合は、どれか一つを最も優先し、それをホロタイプ標本とする。
生物には個体差があるので、これと一つの標本を決めて定義しないと違いばかりが見えてしまうので、同定が定まらないのですね。
地下1階の展示室からエスカレータを上がると、香川少年との記念撮影パネルがありました。
うーん、キマっています。
廊下には昆虫の写真を使った歴代のジャポニカ学習帳60点が展示されていました。年代別になっていたので、自分が使っていただろう時代のを見ましたが、さっぱり記憶にありませんでした。自然豊かな環境で育ったので、虫が日常にありふれていて興味を抱くことがなかったのが原因かもしれません。そんなジャポニカ学習帳ですが、2012年以降は昆虫の写真を使わなくなったそうです。気持ち悪いとの声があったからとか。不満の声ほど大きく響くこのご時世、時代で片付けるにはなんとも悲しい話ですね。
第二会場には昆虫研究によって新に開発された素材の展示などがありました。壁には、アリと共生する昆虫の生態について、いずもり・よう氏による4コママンガの展示。
かわいらしい上にわかりやすい。
ツヤヒメサスライアリという軍隊アリには、ヒメサスライアリハネカクシというアリと形がよく似た好犠牲昆虫が混ざっているとか。このハネカクシは移動の際に登れないところなどでアリに運搬してもらうそうなのですが、アリが運びやすい形をしていると。気づかいあるちゃっかりさんなのでした。
最後、ミュージアムショップの前に特別なスペースが設けてありました。
昆虫展を見て回っている時に、どちらかのお父さんが「香川照之いないねー」と笑いながら子供の手を引いていたのが印象的でした。そんな、香川照之の見事なポスターに釣られてやってきた方々のための特別展示です。
昆活マイスター香川照之考案昆虫愛企画、香川照之のドリームチーム、そして、香川照之の昆虫年表です。
最後まで大変楽しめる展示でした。さすが「香川照之の昆虫展」です(違
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