春日大社 千年の至宝展(後期)@東京国立博物館 平成館

1月末に来て以来、久しぶりの上野公園。来週から上野公園桜祭りが始まるからか、浮世絵行灯が並んでいました。
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東京国立博物館は中庭の池が干されていました。
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春日大社展も今週末で終わり。この日は時間が限られていたので、少しだけ見に行きました。
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以下に気になった展示物をずらずらとメモ代わりに残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品、所蔵先なしは東博所蔵)

第二章 平安の正倉院

23《◉ 本宮御料古神宝類 蒔絵箏 一張 平安時代 12世紀 春日大社》
金、銀、銅の沃懸地や螺鈿で装飾された小型の琴。流水文や飛び交う鳥や蝶が描かれ、王朝意匠の粋を今に伝える平安時代漆芸品の最高傑作。螺鈿の宝相華文はほとんどが剥落している。砂流しによる懸崖の表現がすばらしい。69に復元あり。

45《◉ 若宮御料古神宝類 毛抜形太刀 一口 平安時代 12世紀 春日大社》
平安時代に藤原頼長が奉納したと考えられる太刀で、鞘の銀板に漆で岩千鳥を表わしてある。しかし、現物はひどく傷んでいるのとライティングが限られていて単眼鏡でも細かな部分が見づらかった。華奢に感じるほどのフォルム。

69《復元模造 蒔絵箏 北村大通・北村昭斎作 一張 昭和55年(1980)春日大社》
復元した筝。23と並べて展示されていたので復元したものの輝きがより見事だった。

70《復元模造 毛抜形太刀[鞘]高山一之作[鞘装飾]北村昭斎作[刀装金具]宮島宏作》 一口 平成15年(2003) 春日大社 》
復元した毛抜き形太刀。45を背にする位置に展示されているため見比べにくいものの、本作は輝きも見事で文様も鮮やかなので、岩千鳥の愛らしさも十分感じられるし、各部位の細工を観察しやすかった。見惚れちゃって思いの外時間を取られました。 

第三章 春日信仰をめぐる美的世界

81《◎ 春日宮曼荼羅 一幅 鎌倉時代 13世紀 東京・根津美術館》
珍しく社殿を正面から描いてあるため、御間塀や獅子の姿までみえる。本地仏は梵字で示されている。

92《春日宮曼荼羅 一幅 室町時代 16世紀 京都・誓願寺》
御本殿の前にある二之鳥居の手前で参堂が右に曲がっている。参詣の道筋が実際に即して良く描かれている。

94《春日宮曼荼羅 一幅 鎌倉~南北朝時代 14世紀 奈良・大和文華館》
現存しているものの中で最も多くの本地仏が描かれている。

102《◎ 興福寺曼荼羅 一幅 鎌倉時代 13世紀 京都国立博物館》
興福寺との結びつきを表すようになった初期のもの。 たくさんの仏が描かれている。

115《◎ 春日龍珠箱 二合 南北朝時代 14世紀 奈良国立博物館》
龍の宝珠を入れる二重の箱。今回は内箱が展示されていた。蓋の裏には7匹の鬼と若者の姿の八龍王、本体は波模様が描かれている。春日大社の地に龍神信仰があったことを示す。

126《稚児文殊像 一幅 鎌倉~南北朝時代 14世紀》
垂髪狩衣姿の文殊菩薩と獅子が描かれている。通常の稚児文殊像は獅子に乗っている姿で描かれることが多いが、本作では文殊菩薩を守るように獅子が寄り添っている。

148《◎ 四方殿舎利厨子 一基 室町時代 15世紀 奈良・能満院》
屋根のある宮殿形の厨子。四方が両面開きになり、中にそれぞれ春日神鹿御正体、三面火焔宝珠、大般若経宝幢、五輪塔が配されている。その中に仏舎利や木彫仏を納めた板があるらしい。

第四章 奉納された武具

175《◉ 沃懸地獅子文毛抜形太刀 一口 [刀装]鎌倉時代 13世紀[刀身]平安時代 12世紀 春日大社》
金沃懸地の鞘に三頭の獅子が描かれているのだが、これが甘え顔で実にかわいらしい表情。刀身はしのぎ造り。無銘だが同時期の生ぶな名品。

176《◉ 沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀 一口 鎌倉時代 13世紀 春日大社》
鞘の上部に付く帯取に兵具用の鎖がついている。鞘と兵庫鎖の部分に酢漿(かたばみ)紋が表されている。

179《◎ 金銅柏文兵庫鎖太刀 [刀身]古青江康次 一口[刀装]南北朝時代 14世紀[刀身]鎌倉時代 13世紀 春日大社》

とにかく大きくて目を惹く。塗金と塗銀で柏文が描かれた鞘は、銅の青みが印象に残る。広身幅の大太刀。

186《◉ 赤糸威大鎧(竹虎雀飾)一領 鎌倉~南北朝時代 13~14世紀 春日大社》
茜染糸による鮮烈な赤の威毛と、細かい彫金技術をみせる鍍金の金物が華やか。兜鉢や吹き返しにみられる竹文の高肉透彫地に雀。大袖には竹に虎。この虎がまた猫みたいにかわいらしい姿で微笑ましい。ぐにゃぐにゃに曲がっているが、虎には髭もある。

188《◉ 黒韋威胴丸 一領 南北朝~室町時代 14世紀 春日大社》
昨年国宝に指定された。保存状態がすばらしく当時の韋緒や組紐がほぼ完全に残っている。鹿皮を紺に染め金物は鍍金枝菊文透。

第五章 神々に捧げる芸能

196《競馬図屛風 六曲一双 室町時代 16世紀 春日大社》
競馬会神事(くらべうまえしんじ)の様子が描かれた屏風。赤と青の衣装で分かれて競う。

 

前に来た時から三分の一くらい展示替えしてあった印象でした。駆け足で見るのはもったいないくらいだったのですが、しょうがない。

 

前期の記事はこちら。

melonpankuma.hatenablog.com