山種コレクション名品選Ⅰ 江戸絵画への視線 ―岩佐又兵衛から江戸琳派へ― @山種美術館

山種美術館では、現在、【開館50周年記念特別展】山種コレクション名品選Ⅰ 江戸絵画への視線 ―岩佐又兵衛から江戸琳派へ― 〔過去に開催された展覧会〕 – 山種美術館が開催中です。

今日、青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会 「【開館50周年記念特別展】山種コレクション名品選Ⅰ 江戸絵画への視線 ―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―」(@山種美術館)を リアルタイムでレポートしよう! – 山種美術館 に行ってきました。館内撮影可という、ありがたいイベントです。

学芸員の三戸信惠さんが観賞ポイントを丁寧に解説してくださいました。これが実にわかりやすく、しかも、日本画の鑑賞法のヒントが盛りだくさん。普段ならきっと見逃してしまうようなところまで細かく観られたので満足度がさらに上がりました。

 

伏見人形図(伊藤若冲、山種美術館蔵)

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これは今年三度目ですが、若冲展を経た後なのでまた感激もひとしお。上から下からと視点を変えて光を加減しながら眺めると、伏見人形の質感を出すために絵の具に砂が混ぜてあるのがわかります。

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本阿弥光悦・俵屋宗達《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》(山種美術館)

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俵屋宗達が金銀泥で描いた料紙(画材用和紙)に本阿弥光悦が「新古今和歌集」の和歌を書いた「鹿下絵和歌巻」の断簡です。宗達ファンとしては見逃せない一品ですが、この絵の上に大胆に筆を乗せる本阿弥光悦の度胸もすごいなと。

 

酒井鶯蒲《夕もみぢ図》(山種美術館)

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《紅白蓮・白藤・夕もみぢ図》(山種美術館)は、本阿弥光悦の孫、光甫が描いた図様を鶯蒲が写した三幅対で、これはそのうちの一幅。

《夕もみぢ図》部分拡大

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幹には、琳派の特徴たらしこみ。見事です。赤い葉の上の印は本物ではなく筆で書き写したものです。なにせ、模写ですから。

こちらの作品は、8月発売の伊藤はの「お~いお茶」秋限定パッケージにも使われています。

 

酒井抱一《菊小禽図》(山種美術館)

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《菊小禽図》部分拡大

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三色の菊の美しさ。華には輪郭線を用い、葉はたらしこみと琳派の伝統的な技法が使われています。菊の枝に止まる小鳥は緊張感のある姿勢です。小鳥が乗ったせいで枝がしなり、菊が逆くの字型になって画面を構成します。

 

酒井抱一《秋草鶉図》(山種美術館)

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すすき野に遊ぶ鶉はやまと絵の古典的なテーマです。抱一はそれを金の屏風に仕立て、中央に黒い月が浮かびあがらせました。月にかぶさるようにススキが配されているのも抱一ならではの遊び。この黒い木の葉型の月は銀が酸化したものではなく、元からこの色で描かれているそうです。しかも上弦の月が地平線に傾くのは深夜なので、鶉が活動する夕方や明け方であるはずがなく、いろいろと解釈が待たれる謎の多い作品なんだとか。

それにしても、月をなぜ黒くラグビーボールのような形で描いたのか。これは抱一が深く研究した、宗達の《鹿に月図》や本阿弥光悦の《薄に月図》に発想を得たものだと言われています。よほど宗達が好きだったんでしょうねえ。

 

酒井抱一《月梅図》(山種美術館)

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中央の月は背景を暗く塗って光を表現する、そとぐまの技法で描かれています。枝を描く筆の走りがきれいです。

 

鈴木其一《四季花鳥図》(山種美術館)

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 植物を描かせたら師の抱一を凌ぐのが其一です。あまりにも豪華でため息が出ます。 二曲一双の金地の屏風に様々な花々を配し、その中に鶏やオシドリが隠れています。

 

岩佐又兵衛《官女観菊図》(重要文化財、山種美術館)

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もとは福井の豪商、金谷家旧蔵の屏風だったのを明治時代末頃に分割され軸装にしたもの。白描と呼ばれる白黒のやまと絵だが、背景に金泥を用い、さらに唇や頬に紅が引かれています。

《官女観菊図》部分拡大

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この細やかな書き込み。そして上品で美しい顔。伊勢に下向する源氏物語の六条御息所と娘の斎宮を描いたものとされています。乱れる後れ毛に色気が漂います。

あまりにも素敵でこの絵の前で長く時間を過ごしました。私、岩佐又兵衛はこれが初めてで、まったく知りませんでした。モノクロなので一見地味ですが、その力量はすさまじく伝わってきます。もっと岩佐又兵衛の作品が見たいなあ。