福ねこ@目黒雅叙園百段階段
昨日、目黒雅叙園ファミリークラブ会員特典のチケットを片手に、「福ねこ」展の開催初日に突入しました。
「福ねこ at 百段階段」 ~和室で楽しむねこアート~
奈良時代に中国から伝わったとされる猫。平安時代、宮廷の貴族たちに愛でられた希少な動物は、江戸の頃、庶民の身近な存在となりました。しなやかな姿態と美しい瞳、どこか謎めいている様は昔から様々な芸術のモチーフとして登場して来ました。
この春、昭和の名建築・東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に独創性と技量に富んだ現代作家の作品約1,000点が出品されます。6つのアート(絵画、立体、陶芸、人形、彫刻、写真)で楽しむ、福々しい春の宴をぜひお愉しみください。
「福ねこat百段階段」展 ~和室で楽しむねこアート~ | 百段階段イベント | ホテル雅叙園東京(目黒雅叙園)
受付をすませ、螺鈿で飾られた豪華なエレベーターを出ると、まずは、はしもとみおの木彫りの猫がお出迎え。
いやあ、これは怒ってますねえ。耳も目も緊張で引きつって、背中の毛がこれ以上にないほど逆立っているのが強風に吹かれてテーブルのように平になっているんでしょう。よほど強い風。港の猫かな。
この横に写真家アクセントの躍動感あふれる猫の写真が並んでいました。
靴を脱いで、いよいよ東京都指定有形文化財「百段階段」へ。本展は、写真撮影可(フラッシュ禁止)です。百段階段を上りながら、目に入るものを片っ端からスマホでパシャパシャ(無音アプリを使っているので音はしないけれど、気分的に)撮っていきます。写真で記憶を補えると、いちいちメモ取らずにすむから、ありがたいです。
十畝の間
十畝の間は荒木十畝による四季の花鳥画と黒漆の螺鈿細工が美しい部屋です。こちらには、猫を神仏化した造形作家もりわじんの作品が展示されていました。
《好景気猫》
この回りにぐるりと展示してある365匹の誕生日猫「招きたん」たちの親玉です。頭に猫ケーキを乗せている、ふくふくしたお顔の猫が巨大なイチゴのショートケーキに鎮座して好景気を招きます。台座のショートケーキをよく見ると、その上にもたくさんの猫がいます。側面には、ケーキを掘ってカマクラに見立てて火鉢を囲んでいる猫も。後部にケーブルがあったところをみると、電飾もありそう。
漁樵の間
二間目。格天井には菊池華秋原図の四季草花図、欄間には尾竹竹坡原図の五節句が極彩色で浮彫りされています。巨大な檜の床柱には、中国の漁樵問答の一場面が彫られていることから、漁礁の間と呼ばれている。この豪華絢爛な空間に、歌川国芳の《其のまま地口猫飼好五十三疋》を再現した、小澤康麿の陶芸作品が展示されていました。
地口とは江戸人が好んだ言葉遊びで、国芳は、日本橋をにほんだし(二本の鰹節)といった感じで、東海道の宿場名を猫にちなんだ駄洒落にしています。小澤康麿氏は、国芳が描いていない部分を想像で補い、バランスを整えて陶芸作品にしました。
《庄野 かうの》
《草津 こたつ》
《宇多天皇の黒猫》
宇多天皇は父から贈られた黒猫を非常に可愛がっていたことを自身の日記《寛平御記(かんぴょうぎょき)》に記しています。「愛其毛色之不類。餘猫猫皆淺黑色也。此獨深黑如墨。爲其形容惡似韓盧。長尺有五寸高六寸許。其屈也。小如秬粒。其伸也。長如張弓。眼精晶熒如針芒之亂眩。耳鋒直竪如匙上之不搖。其伏臥時。團圓不見足尾。宛如堀中之玄璧。其行歩時。寂寞不聞音聲。恰如雲上黑龍。」とある。
静水の間
清水の間の床柱は黄檗。天井には池上秀畝の鳳凰や舞鶴、欄間には小山大月の金箔押地秋草、次の間の欄間天井は橋本静水等の扇絵で飾られている。障子建具の面腰組子も美しい。ここには、石渡いくよの衣裳人形が展示されていました。こちらの作品は、本物の猫の髭を使っているそうです。
《異界の生き物 門番》
左《陰陽師》、右《異界の生き物 猫又奏者》
《猫侍 玉之丞》
猫侍の玉之丞です。ドラマや映画では、14歳の白猫あなごちゃんを始め6匹が担当したそうで、もちろん、私も魅了されたうちの一人です。斬るべし、斬るべし、斬るべし!
《鬼の家族 嫁、子供》
星光の間
星光の間は鏑木清方が造った茶室風の部屋。奥にある床柱は径一尺五寸の北山杉の天然総絞丸太の逸材。廻り廊下の北山丸太を扱った化粧軒、障子建具、組子など細やかで、扇面形杉柾板に四季草花、欄間の四季風俗美人画はともに 清方の筆。ここには、もりわじんの猫神様がずらり。
《毒猫神様、猫百覧会》
《二十二 矜羯羅猫童子》
モデルの矜羯羅童子(こんがらどうじ)は不動明王の従者、八大童子の第7番目で、通常は不動明王の左に配置される。ダウンタウンの浜田雅功さんによく似た感じの立像が有名ですが、こちらの猫神様は清らかな眼差しが愛らしいですね。
清方の間
奥の間の床柱は北山杉天然絞丸太。格天井と欄間に板倉星光の四季草花が描かれています。障子建具の細工もとても美しい。こちらでは、松風直美の猫切り絵の世界とナカムラジンの古伊万里風のアート器や猫仏画が展示されていました。
頂上特別展示エリア
階段を上がりきったところにある、普段は展示会でもなかなか公開されない四畳半。こちらでは、石黒亜矢子の化け猫の世界とはしもとみおの木彫り猫の世界が展示されていました。
《鬼子母猫百号》
はしもとみおさんの木彫りの猫。
カイカイな猫の表情が実によいですねえ。
頂上の間
頂上の間の天井画は松岡映丘門下の作品。格天井で、本間の床柱は黒柿。こちらは物販コーナーになっていて、猫アーティストの一点ものアクセサリーや置物が販売されていました。誘惑多し。
百段階段を後にし、もう少しよい気分に浸りたくてカフェでチョコレートケーキ。
竜宮城気分を堪能しました。
今年も猫にまつわる展覧会がいたるところで開かれているようですね。日本橋三越の全館ねこづくしも行きたいな。
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