河鍋暁斎 その手に描けぬものなし(後期)@サントリー美術館

展示替えがされたようなので、前期に引き続き、サントリー美術館で開催の河鍋暁斎展に行ってきました。
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最初、新・北斎展とどっちに行こうかと悩んだのですが、あちらが入場制限するほどの混雑になっていると聞いて、暁斎展にしました。こちらは快適に見ることが出来ました。

いつものように気になったものについて以下にメモを残します。

第1章 暁斎、ここにあり!

《4 般若十六善神図 河鍋暁斎 一幅 東京・深大寺》
大般若経を守護する護法善神を描いたもので、しかも描き表装。

《6 文読む美人図 河鍋暁斎 一幅 河鍋暁斎記念美術館》
屏風に軽く寄りかかって右手に持った文を読む女。変形唐輪髷、二羽の闘鶏が描かれた小袖、細い名古屋帯。

第2章 狩野派絵師として

《8 瀧に虎図 前村洞和 一幅 河鍋暁斎記念美術館》
暁斎の師、前村洞和の作品。前脚を岩にかけて上体を立て滝に打たれる虎。やや剽軽な顔。頭部からの水の流れが白髪のよう。

《17 幟鍾馗図 河鍋暁斎 一幅 個人蔵》
今回の暁斎展で最も印象に残った作品。幾重にも重なった幟旗、鯉幟は吹き飛ばされそうなくらいの強風に空に腹を向けて逆さに泳ぎ、幟旗の鍾馗が現実の小鬼を捕まえている。其一の《夏秋渓流図》と似た気持ち悪さが印象に残る。

《25 白鷲に猿 河鍋暁斎 一幅 河鍋暁斎記念美術館(ジョサイア・コンドル旧蔵)》
岩に空を見上げる鷹、岩の下には頭を抱えて身をひそめる猿の姿。猿の毛はいかにも柔らかく描かれていて幼い猿かもしれない。鷹に怯える猿は鈴木春信、若冲らも描いている画題。

《28 風神雷神図 河鍋暁斎 二幅 株式会社 虎屋》
烏天狗のように嘴のある風神。風神雷神の配置が琳派と逆なのは、狩野探幽以降の伝統とか。

第3章 古画に学ぶ

《48 鳥獣戯画 猫又と狸 河鍋暁斎 一面 河鍋暁斎記念美術館》
猫又、狸、鼬、土竜が踊り狂っている姿を描いた下絵。完成品はまだ見つかっていない。背景もなく着色されていないところが多いが、それでも躍動感あふれる絵が強く印象に残る。

《58 四季耕作図 河鍋暁斎 二幅 個人蔵》
それほど大きくない二幅に四季を描いたもの。右幅下から上に向かって、春先の土作り、田植え、雨季が描かれ、左隻は上から下に向かって刈込み、運搬が描かれる。伝統的に四季耕作図は屏風等の大画面に表される画題だが、暁斎は掛け軸に仕上げた。

《59 四季耕作図屏風 狩野晴川院養信 六曲一双 サントリー美術館
江戸時代後期に描かれた狩野派の四季耕作図屏風。

第4章 戯れを描く、戯れに描く

《65 滑稽図巻 狩野永納 一巻 個人蔵》
鷹に捕まえられて運ばれる風神を描いたもの。風神が大きな風袋もろとも体なく運ばれる様は笑わずにはいられません。

《72 月次風俗図 河鍋暁斎 十二幅 河鍋暁斎記念美術館》
6月の梅雨、雷神の代わりに電信柱が描かれている。

《73 群猫釣鯰図 河鍋暁斎 一幅 河鍋暁斎記念美術館》
鯰を狙う八匹の猫を描いたものだが、実鯰がは籠絡を狙われる役人で、猫は七匹の芸者と采配を揮う置屋の女将という見方も。猫たちの尖った耳と耳の間の狭さがカーミングシグナル通りで非常に観察されているなと思った。

 

 

4階通路にフォトスペースがありました。
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第6章 珠玉の名品

《96 惺々狂斎画帖(一) 河鍋暁斎 一帖 河鍋暁斎記念美術館》
『惺々狂斎画帖』は大伝馬町にある小間物問屋勝田五兵衛の注文で描いたもの。「御茶の水 水道橋 神田上水掛樋」は『江戸名所図会』にも残る有名な構図そのまま。 

《97 惺々狂斎画帖(ニ) 河鍋暁斎 一帖 河鍋暁斎記念美術館》
傍らに猫を置き、涅槃図に猫を描こうとする兆殿司を描いたもの。室町時代の画僧、兆殿司は《絹本着色仏涅槃図》に普通は描かれない猫を入れた。

《100 日本神話 河鍋暁斎 五面 山口静一氏》
浅瀬で開胸した天宇綬売命(あめのうずめのみこと)を迎える猿田彦神を描いたもの。背後には太陽を背にして七人の武装した従者が控えている。

 

河鍋暁斎には大きな画面で豪華な顔料を使って描いてもらいたかったなと、展覧会がある度に思います。大名がいなくなって寺院にもお金が回らなくなり、大きなパトロンがつかなかった時代だったから狩野派も衰退し、暁斎ほどの絵師でも画材に困ったのでしょう。本来なら屏風にされる画題の《四季耕作図》が掛け軸にしかならなかったのを見てもわかります。天賦を活かせる時代だったら、どれほどの凄いものが生まれたことでしょう。

 

帰りに六本木交差点のアマンドでリングシュークラシック “昭和テイスト”のセット。
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カスタードと生クリームをリング状のシュー生地にサンドしたケーキです。アマンドって安定しておいしいので、結構好き。