美を紡ぐ日本美術の名品@東京国立博物館

2022年4月20日

この日は築地で朝ご飯。

https://isshokuta.kuruxkuma.com/2019-05-03-164419/

十分にお腹が満たされた後、上野公園まで走りました。連休でいつもにも増して人が多い。
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そして、暑い。噴水が目に涼しい季節になりました。

いつものようにトーハクへ向かいましたら、入場するのにも長い列ができていました。さすがゴールデンウィーク。稼ぎ時ですね。
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大半が平成館に向かっていたし遠目にもざわついていたので、ちょいと偵察へ。
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40分待ち。あんなに広く会場が作ってあっても入場制限かかるってすごい。昨日NHKで特番の再放送があったから、ブーストかかったのかも。

よかった、まだ空いてるうちに観られて。

melonpankuma.hatenablog.com

本館に戻って、東寺とは別の特別展を観ます。

この日が初日の「美を紡ぐ日本美術の名品」展です。
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www.tnm.jp

以下、いつものように気になったものについてメモを残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

《1 唐獅子図屛風 [右隻]狩野永徳筆、[左隻]狩野常信筆 6曲1双 安土桃山時代・16世紀、江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
右隻が狩野永徳の傑作。屏風としてもかなり大型。岩間にたつ番の獅子を描いた金屏風。永徳は狩野派が最も栄華を極めた桃山時代を代表する絵師で多くの障壁画を描いたが、乱世で建物もろとも失われたものが少なくない。本品は確証がある現存作品として貴重。
左隻は永徳のひ孫にあたる常信が後に製作した。

《2 ◉檜図屛風 狩野永徳筆 4曲1双 安土桃山時代・天正18年(1590)
こちらも永徳の貴重な現存作品。金地の雲と青い水流を背景に大きく枝を伸ばす檜が描かれている。元は4面の襖絵だったものが八曲一隻の屏風になり、2012年の全面的な修理で四曲一双に改められた。

《8 更級日記 藤原定家筆 1帖 鎌倉時代・13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
全ての写しの元になった。手帳サイズの小品で、仮名がリズミカルに弾んでいる。

《12 ◉秋冬山水図 雪舟等楊筆 2幅 室町時代・15世紀末~16世紀初

《15 花鳥遊魚図巻 長沢芦雪筆 1巻 江戸時代・18世紀 文化庁》
季節の花々に亀、雀、子犬、啄木鳥、ハヤ等が描かれた絵巻。小さな生き物の愛らしさに顔がゆるむ。

《16 西瓜図 葛飾北斎筆 1幅 江戸時代・天保10年(1839) 宮内庁三の丸尚蔵館
北斎の肉筆画。半分に切ったスイカは紙で覆われ、包丁が置かれている。その上には吊るされたスイカの皮が垂れ下がる。乞巧奠の見立て絵と言われている。

特別出品

《1 ◎西行物語絵巻 巻一 [画]俵屋宗達筆[詞書]烏丸光広筆 6巻のうち1巻 江戸時代・17世紀 文化庁》
平安から鎌倉時代にかけた生きた歌人西行の一生を描いた絵巻。越前福井藩主松平忠昌の家老伊豆守本多富正の依頼で宗達が模写したものに、後日光広が詞書を入れた。原本は現存していないが、禁裏御文庫に収蔵されていた《西行物語絵巻[画]海田采女佑源相保 [詞書]三条公敦 室町時代 明応九年(1500)》の采女本とされている。展示は物語冒頭の鳥羽殿部分で、鳥羽院の北面の武士であった佐藤義清(西行)が御所の障子絵を歌に詠んで褒美をもらう場面。

《2 唐子遊図屛風 狩野探幽筆 6曲1双 江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館》
新春の遊びをする唐子を描いたもの。鶏合、花合、蝶取り、獅子舞、春駒など。これが観られたのは貴重でした。

《3 ◉納涼図屛風 久隅守景筆 2曲1隻 江戸時代・17世紀》
夕顔の影に筵を敷いて涼む親子を描いたもの。当時にしては斬新な構造なんだろうけど、非常にゆるい。

《4 西行物語絵巻 巻四 尾形光琳筆 4巻のうち1巻 江戸時代・17~18世紀 宮内庁三の丸尚蔵館》
宗達の模写を光琳がさらに写したもの。

《5 ◎前後赤壁図屛風 池大雅筆・自賛 6曲1双 江戸時代・寛延2年(1749) 文化庁》
南画の大成者である池大雅27歳の頃の大作。蘇軾の『前赤壁賦』『後赤壁賦』を主題とする山水図屏風。右隻、舟に遊ぶ目の青い人が蘇軾か。左隻には鶴に乗る仙人が描かれている。

《8 ◎新緑杜鵑図 与謝蕪村筆 1幅 江戸時代・18世紀 文化庁
新緑の木々が揺れる山間に一羽のホトトギスが飛んでいる。実に俳諧的な絵画。

《15 ◉元暦校本万葉集 巻一(古河本) 20帖元暦校本万葉集 巻一(古河本) 20帖のうち1帖 平安時代・11世紀
万葉集の古写本。平安時代に書写されたいわゆる「五大万葉集」の一つ。
人だかりができていたので何かと思ったら「令和の由来になった万葉集の」的な説明書きがあった。実際には本展示には含まれず、本館3室に別品で「令和」部分が展示されているとの案内があったのだけど、勘違いして本品の中に「令和」を見つけようと躍起になっている人で混雑していたというわけ。

東博所蔵の作品は過去に見ているものがほとんどでしたので、宮内庁や文化庁所蔵のものを中心に観ました。
凝ったインスタレーションがあるわけでもないし展示スペースも狭く分断されています。近年華やかな展覧会に行き慣れているせいもあって最初地味だなあと思いましたが、展示されている作品は観る機会がかなり限られたものばかり。こういうの、大したプロモーションがなくても決して侮れるものではありません。見逃してはいけない展示でした。
あと、同じ「美を紡ぐプロジェクト」の一回目の特別展「御即位30年記念両陛下と文化交流」は作品数的にコスパが悪いという声をSNSで見かけましたが、そういう方には1,100円の入場料で国宝・重文クラスがずらりと並ぶ本展は最高にコスパがよいものなんじゃないかなと思ったり。