天皇と宮中儀礼@東京国立博物館 平成館

10月上旬、即位の礼の前に勉強がてら観ておきたいものがあり、曇り空の下、東博へ行きました。
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平成館1階の企画展示室で来年1月19日まで開催の「天皇と宮中儀礼」展です。
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宮廷で行なわれる儀式や行事は、年中行事と臨時行事に分けられます。年中行事とは毎年繰り返し行なわれる行事のことで、臨時行事とは天皇の即位や大嘗祭(だいじょうさい)など、その都度行なわれる儀式のことです。こうした儀式・行事は過去の先例を重視したため、絵画作品や歴史資料など、多くの記録に残されてきました。

本特集は、平成から令和への御譲位、御即位により注目の集まる天皇と宮中儀礼を、「即位礼と大嘗祭」「悠紀主基屛風(ゆきすきびょうぶ)」「御所(ごしょ)を飾る絵画」「年中行事」「行幸と御遊(ぎょうこうとぎょゆう)」の5つのテーマによって紹介するものです。

展示室内は特に混雑もなく、ゆっくりと観ることができました。
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《御即位大嘗祭絵巻 1巻 大正4年(1915)》
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明治維新ののち、天皇の即位などを規定する登極令が制定され、同令に基づいて大正・昭和の両度の即位礼および大嘗祭の御大典は挙行されました。本絵巻は、大正度の即位礼に先立って、登極令の条文に則った御大典の情景を描いたものです。

令和の大嘗宮と違って、柴垣が高く作られているのがわかる。

《旧儀式図画帖 第三 剣璽渡御 1帖 藤島助順筆 明治時代・19世紀》
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江戸末期に光格天皇から皇太子の恵仁親王(仁孝天皇)へと譲位が行われた際の記録。仙洞御所である桜町殿から内裏の新帝のもとに宝剣と神璽が届けられました。剣璽については、宮殿の上では内侍という女官が扱い、地上では近衛中将が扱うのが作法でした。

光格天皇の譲位から202年ぶりの譲位が、今年5月に行われました。

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松の葉は、盛り上がりがはっきりわかるほどに岩絵の具が塗られていました。
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《太政官庁御即位図 1幅 吉田静峯模、森田亀太郎彩色 大正4年(1915)模、大正5年(1916)彩色》
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弘安11年(1288)に行われた伏見天皇の即位の礼の図面。この時の即位礼は、太政官庁で挙行されました。元来、即位礼は大極殿で行われていましたが、平安時代末期に大極殿が焼亡して後は太政官庁を代用し、さらに応仁の乱以後には紫宸殿を代用しました。

《高御座図 1幅 森田亀太郎模 大正4年(1915)模、大正5年(1916)彩色》
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《◉延喜式 巻七(甲) 1巻 平安時代・11世紀
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『延喜式』は延喜五年(905)から醍醐天皇の命により編纂された律令制における施行細則を記したものです。巻七では、大嘗祭について、悠紀主基の地を定めることからはじまり大嘗宮を造ることなどさまざまな詳細を規定しています。

展示部分は大嘗祭についての部分で、7月以前の即位なら当年、8月以降なら翌年に行うという開催時期の判断、亀卜で悠紀主基地域を定め、祭礼を行う役人、儀式の材料等の細目が記されている。

 

右 《悠紀屏風 明和元年度正月・二月帖 6曲1隻 土佐光貞筆 江戸時代・明和元年(1764)》
左《主基屏風 明和元年度三月・四月帖 6曲1隻 土佐光貞筆 江戸時代・明和元年(1764)》
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後桜町天皇の大嘗祭屏風で、右隻は悠紀、近江国の正月と二月の情景を日野資枝が詠んじ、左隻は主基、丹波国の三月と四月の情景を烏丸光祖が詠じ、それぞれ3首を色紙に書き、土佐光貞がその意味内容を描いた。現存最古の大嘗会屏風。

《小野雪見御幸絵巻(模本) 1巻 江戸時代・19世紀》
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寛治5年(1091)、雪の多く降った朝のこと。白河院が突然、小野の里に雪見をしようと思い立ちます。小野に住まう皇太后は、御殿の御簾の下から美しい女房衣を出し、童女に蜜柑とお酒を捧げさせるなどして、白河院を大いに満足させたという話

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御殿の階段を降りた童女が盆を持ち、御車内の白河院へ運んでいる。

 

《大宋屏風 6曲2隻 江戸時代・19世紀》
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 大宋屏風は宮中での様々な儀式の際、天皇のそば近くに立てられる屏風のこと。毬杖と呼ばれる、ポロのような競技をする中国風の人物が描かれており、立姿と馬上姿の二種があります。本屏風は文化14年(1817)に宮中で制作された大宋屏風の一部の可能性があります。

《年中行事図屏風 6曲1隻 住吉如慶筆 江戸時代・17世紀》
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江戸時代初めのやまと絵師、住吉如慶が描いた屏風。如慶は後水尾天皇の命で「年中行事絵巻」を模写しており、平安時代の儀式の様子を参考にしながらこの屏風を描いています。この屏風に描かれた「賭弓」は、正月一八日に宮中で行われた弓の技芸を競う儀式。

《近代年中行事絵(模本) 巻二 1巻 狩野〈勝川院〉雅信(1823~80)他模 江戸時代・19世紀》
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三月三日の宮廷行事として、二羽の雄鶏と闘わせる闘鶏が催されました。当日、天皇が参内殿に設営された御覧所に着座すると、同殿の前庭に、不たちの童子がそれぞれ鶏を連れて出て、鶏たちを飛んだりだり、跳ねたり、蹴っとはしたりさせながら闘わせました。

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《年中行事絵(模本) 1巻 江戸時代・19世紀》
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 平安時代末の宮中や貴族の邸宅、社寺で行われた様々な儀式、行事、祭礼などを描いた絵巻の模本で、当時の宮中儀式や人々の生活を知る百科事典のような作品です。この巻は天皇が年始に上皇、皇太后の住まいを訪れ拝謁する「朝覲行幸」の様子を描きます。